1-7 かつて覚えたことのない感覚
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
アルと自分は相性がいい。
リアは思っていた。
性格が違っても、前向きに何かに取り組む姿勢が似通っていた。調制のために努力を惜しまないところも好ましい。少しばかり終了時間の見解に相違が出ても、むしろ喜ばしく受け取るべきだった。
アルのやる気の表明は、リア自身のモチベーションも高めていた。見守るのが嬉しいのだ。気力も充実している。調制への意欲が異様に上がっていた。
自分の時間と労力を喜んで誰かのために捧げる。
かつて覚えたことのない感覚だった。
リアが長期戦を覚悟して、小一時間もした頃だった。
アルのスピードが鈍り、ヴァン・キ・ラーゴの砲弾に捉えられて動きを止めた。
「―!」
リアは危機感に腰を浮かせた。直撃したために光球の跳ね飛ばされ様が大きかった。弾を当てたヴァン・キ・ラーゴは停止している。
光球の中でアルが身を起こし、頭を振った。光球を解除すると手を後ろについてうなだれた。
「アルっ!」
リアが駆け寄るとアルが顔を上げ、気弱そうに笑った。
「…やられちゃった」
声はかけず、リアはアルの様子を確かめた。負傷はしていないようだった。弾が当たった時も光の防御は展開していたので問題はなさそうだった。リアは安堵した。