1-3 才能の開花
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「でも、本当にいい感じ。この調子だと敵がいなくなるかもね」
「言い過ぎだよ、リア」
アルが笑った。
褒めた方がアルはいいのよね。
リアは思っていた。
良いところを指摘すると、アルは嬉しそうないい顔で笑う。見ている側まで明るくなるような笑顔でリアは好きだった。
もちろん、それと訓練は別だけど。
自分の気持ちと調制士としての役割をリアは明確に区切っていた。褒め言葉も他の男性種だと逆効果という場合もあるのだが、アルの場合は心配ない。
だけど、モチベーションのためだけに言ってるわけでもないのよね…。
ヴァン・キ・ラーゴはリアの戦闘経験に限らず、ヴァン・キ・ラーゴ自身が見聞きした情報を生成の都度読み込み、内部のプログラムで消化して対応、ないしは再現できる。極めて精巧で、かつ自動で性能の向上し続ける屈強な穿刺体だった。そのヴァン・キ・ラーゴと互角に闘えるアルは確実に強くなっていた。これまでの訓練を通じて、才能が開花していることを調制士のリアが一番良く分かっていた。