4-20 力を全部ぶつけてみる
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
重い足音を響かせてドロスが近づいた。
「頑丈な球ッコロだな。だが、これだけ近づきゃ、どうだ?」
ドロスが至近距離で光球に腕を向けた。
棘が乱射された。
「―!」
アルは攻撃を避けて横に逃げた。無数の棘によって根元を破壊された木が地響きとともに倒れた。回避行動をするアルの頭にリアの言葉が思い浮かんだ。
『あなたの相転儀が山の形を変えるほどの威力があったとしましょうか?』
直感に従い、アルはある場所を目指した。
「逃げんのか? だったら―!?」
体の向きを変え、ギーツに腕を向けようとしたドロスは表情を歪めた。身を起こし、跪いたギーツの前にアルが立ち塞がっていた。
「ギーツ、目をつぶってくれる?」
「あ?」
怪訝なギーツに、ドロスを見据えたアルが言った。
「ぼくの力を全部ぶつけてみる。失敗したら、ごめん」
ギーツが笑った。
「阿呆。やる前から失敗することなんか考えるな。しくじったら、おれが後は引き受けてやる」
真剣な眼差しで前を見るアルが頷いた。ギーツが目をつぶる。