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4-7 みんな最初はそう言うぜ
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
険しい顔つきをしてギーツが足を踏み出した。
「そうかい―」
ギーツはスティックを一振りした。
「―それじゃあ、おれが思い通りにならねえものもあるってことを教えてやる」
「ギーツ、脚が…」
右脚の傷に気づいたアルが気遣った。
「気にすんな。こんなやつ相手じゃ、ハンデにもなりゃしねえ。ナヤカが絡んでるんでな。ここはおれにやらせてもらうぜ」
ドロスはバカにしたように笑った。
「やっぱ、カスは頭がワリいな。さっき、言ってやっただろうが? 消えるのはてめえだよっ!」
ドロスとギーツが相対し、アルは離れた場所で見守った。
ギーツはスティックの先を下にして構えた。スティックはギーツの相転儀の産物だった。
「来な。てめえのその醜い心根ごとおれがここで叩き潰してやる」
ドロスが呼応し、岩塊を振り上げた。
「そんな細っこい棒でおれに勝てると思ってるのかよ?」
「みんな最初はそう言うぜ」
二人は不敵な笑みを交し合った。