4-6 魔王の条件は金なのよ
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
ドロスが両の腕を広げた。
「考えてもみろよ。金はみんな欲しいんだ。街のゴロツキだろうが盗賊どもだろうが、暴力を金に変えてるって意味じゃ同じだ。どんな御託を並べたところで、みんな最後は金に変えるのよ。そして、効率よく暴力を金に変えるにゃ権力が一番だ」
「だから魔王になる、か?」
「おうよ。オレ様は魔王になって莫大な金をこの手に掴む。魔王だって金を使うんだぜ? 統主や令主が言うことを聞くのは、何も地位や名誉だけじゃねえ。報酬として金を払ってるからだ。統主や令主だって食わなきゃならねえからな。金払わずにコキ使ってみろよ。反乱起こされて終わりだぜ。世の中ってのはなあ、とにかくカネカネカネカネカネなのよっ!」
ドロスが腕の岩塊でアルを指した。
「いいか? 甘ちゃんのカス。金がありゃあ、求法院だって動かせるんだ。てめえを襲った文礼員は金で転んだ。あのクソアマを襲わせた時も監視役を買収した。だから、おれの手下は何の苦労もしなかった。どうだ、スゲエだろ? どんな優れた仕掛けだって人が動かすんだ。そこを押さえりゃ、この程度のこたぁ造作もねえのさ」
下品な笑い声をドロスがあげた。
「金は最高だっ! 人も動かせる! 物も手に入る! 思い通りにならねえモンなんてありゃしねえ! おれに言わせりゃあな、魔王の条件は金なのよ。これしかねえぜっ!」
ドロスは高らかに笑い続けた。