4-5 王の本質
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「てめえらのようなカスにはもったいねえがな。いいぜ。どうせ殺すんだから聞かせてやるよ。そしてオレ様の答えの前に消え去れ」
ギーツがスティックでドロスを指した。
「消え去るのはおまえだがな」
ドロスが鼻で笑った。
「おれが魔王になるのはな、私腹を肥やすためよ」
「…ありそうな話だな。その程度か?」
「てめえみてえなカスならそう言うと思ったぜ。だがな、おれには大事な一族が待ってるんだ。それしかねえのよ」
「王は民を守らなきゃいけないよ…」
「さすがはカスだなっ! オレ様は選ばれた人間だぞ!? 民なんぞどうでもいいんだよっ! カスはカスらしく王のために貢いで、王のために死ねっ!」
ドロスはアルの訴えを吐き捨てるように否定した。
「権力にはなあ、いらねえと言っても利権がついてくるのよ。それが王の本質だ」
「王の本質の一部だろ?」
ドロスが感心したような声をあげた。
「否定しねえのか?」
「嫌でもついてくるのはおれにも分かるさ。使うかどうかは別の問題だがな。そんなに金が大事か?」
ギーツの問いかけにドロスは大仰な声をあげた。
「大事だね。魔族にゃ金を馬鹿にするやつも多いが、そいつらだって金を使わなきゃ生きちゃいけねえんだ。オレ様には理解できねえな」