4-2 ギーツの到着
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
アルの背後につくドロスが目を細めた。右の手に動きがあった。肘から先に岩がウロコ状に張りつき始めていた。肘先を覆い尽くした岩は手に及び、丸く塊を作った。歪な形のまま塊は巨大化していく。ドロスの胸周りにも匹敵するほどに成長した塊には、平たく尖った岩が放射線状に並んでいた。ドロスは岩の塊を腕ごと静かに振り上げた。アルに気づいた様子はなかった。
ドロスが残忍な笑みを浮かべた。
―!
刹那、空中を鋭く飛来した物体に二人の胞奇子は緊迫した。
アルは斜め前方から飛んできた物体を身を翻して避けた。ドロスはわずかに身を引き、歩みを止めた。飛来した物体はドロスの足元に突き刺さっていた。
十一の角の断面を持つ金属製のスティックだった。
「そいつから離れろ、アル」
木の間に消える道の先から姿を現したのは、ギーツだった。
「ギーツ、どうして―」
ギーツを見やり、ドロスへと顔を向けたアルの表情が固まった。ドロスの腕には凶悪な岩の塊が出現していた。
ギーツが鼻を鳴らした。
「結局、てめえが元凶か? ドロス・ゴズン」
「いや、これは―」
ドロスは一瞬たじろいだ風を装い、近くにいたアルへと腕を振るった。大きな吼え声と同時だった。
アルはドロスの攻撃を飛び退ってかわした。岩塊は空を切り、地面を叩いた。大きな打撃音とともに土塊が飛んだ。
続いて、ドロスは岩塊を地面から引き剥がす勢いのままに、突き刺さっていたスティックへと腕を振った。岩塊に弾かれたスティックは回転しながらギーツを目指した。ギーツは難なくスティックを受け止めた。