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魔王になるには?  作者: 水原慎
第三章 激突
205/312

3-28 肌を撫で擦るもの

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

「!」

 攻撃はリアにも及んだ。デランの髪は胴体や四肢に絡みつき、リアを空中に運んだ。生き物のように蠢く髪は首にも巻きついた。リアは苦悶に顔を歪めた。

「おとなしくおれのモノになったらどうだ? ドロスに助命を願ってやってもいい」

 勝ち誇った表情でデランが言った。

「…だ…れが…」

 食いしばった歯の合間からリアは抵抗の言葉を吐いた。 

「意地を張ってもいいことはないぞ。どうせ、おまえたちのパートナーの命運も今頃は尽きている」

「―」

 憤怒の目でリアはデランを睨んだ。

 アルやギーツが簡単に敗北するとは思っていなかった。仮にデランの言う通りだとしても自分の思いは譲れない。

「…強情な女だな」

 デランが吐息を一つした。

「このまま裸に剥いてやってもいいが―」

 デランの言葉が終わらない内にリアの肌を撫で擦るものがあった。デランの髪が襟元や裾の隙間から侵入し、版図を広げた。リアは全身に怖気を感じた。屈辱が身を焼いた。

 この―!

 苦痛に顔を歪めながらもリアはデランを睨んだ。

 デランは嗜虐的な笑みを浮かべて見上げていた。頭に血が昇るのを覚えた。

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