3-28 肌を撫で擦るもの
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「!」
攻撃はリアにも及んだ。デランの髪は胴体や四肢に絡みつき、リアを空中に運んだ。生き物のように蠢く髪は首にも巻きついた。リアは苦悶に顔を歪めた。
「おとなしくおれのモノになったらどうだ? ドロスに助命を願ってやってもいい」
勝ち誇った表情でデランが言った。
「…だ…れが…」
食いしばった歯の合間からリアは抵抗の言葉を吐いた。
「意地を張ってもいいことはないぞ。どうせ、おまえたちのパートナーの命運も今頃は尽きている」
「―」
憤怒の目でリアはデランを睨んだ。
アルやギーツが簡単に敗北するとは思っていなかった。仮にデランの言う通りだとしても自分の思いは譲れない。
「…強情な女だな」
デランが吐息を一つした。
「このまま裸に剥いてやってもいいが―」
デランの言葉が終わらない内にリアの肌を撫で擦るものがあった。デランの髪が襟元や裾の隙間から侵入し、版図を広げた。リアは全身に怖気を感じた。屈辱が身を焼いた。
この―!
苦痛に顔を歪めながらもリアはデランを睨んだ。
デランは嗜虐的な笑みを浮かべて見上げていた。頭に血が昇るのを覚えた。