3-27 繭になるヴァン・キ・ラーゴ
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
デランが鼻を鳴らした。
「スピードに特化したか? 随分と軽いな。あいにく、おれの髪の毛は頑丈でな。今の今まで切られたことも、千切られたこともない。ナヤカ・エジェイルは行かせるべきではなかったな」
デランの指摘は当たっていた。二体目のヴァン・キ・ラーゴは髪の毛を切断した後、デランを襲う予定だった。そこで勝負はついていたはずであった。
勝ち誇るデランの背後から影が躍り出た。
森に投げ込まれたヴァン・キ・ラーゴだった。リアはお返しとばかりに不意に襲わせた。五指には大きな鉤爪を装備させた。一息にデランに迫る。
が、ヴァン・キ・ラーゴの攻撃はデランに届かなかった。地面から立ち上がって扇のように広がった髪によって受け止められたのみならず、絡め取られると地面に叩きつけられた。横倒しになった状態で繭のように髪に包まれる。
もう一体のヴァン・キ・ラーゴも同じ状態だった。デランを急襲したヴァン・キ・ラーゴに呼応し、遠距離からの攻撃に転じたものの攻撃以前で押し留められていた。立ち姿で全身を包まれている。抵抗は灰色の繭の歪みとなって現れた。