3-25 あたしは負けない!
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「調制士はどうしたの?」
「おまえを弄びたいと言ったら、反対したので始末した」
「クソ野郎ね」
リアは静かに侮蔑した。
「何とでも言え。おれはおまえのような気の強い女を屈服させるのが好きなんだ」
リアは苦笑した。
よくも平気で偏った趣味を標的とした人間の前で語れるものだ。魔族にありがちな偏執狂だった。しかも、歪み方がこの上ない。
「尊大だこと」
盟約の儀で互いの肉体に入り込んだ血は、パートナーを失うと不純物となって魔力を減衰させる。この男のように明確に裏切れば、毒となって強力に魔力を削る。実効を伴った死者の呪いだ。だが、男は気にかけてはいないようだった。
「呪いも気にしないわけ?」
「小者の毒なぞおれに効くわけがなかろう」
盟約を交わしてパートナーとした女性種を小者呼ばわりか。
魔族の中には時折こういう手合いがいる。自分の力に対して過信に過信を重ねた傲慢な輩だ。
「人の下についてるようなやつが、他人を小者呼ばわりしてんじゃないわよ」
「実利を追うのがおれの趣味だ。おまえはどう思っているか知らんが、やつは強いぞ」
「ヴァン・キ・ラーゴ!」
リアはヴァン・キ・ラーゴを叱咤した。同時に供給していた魔力を引き上げる。
魔王になることを諦めたようなやつに、あたしは負けない!
闘争心に火がついていた。闘争心に火がついていた。