3-23 ヴァン・キ・ラーゴの招喚
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「お引き受けしました」
言うとナヤカは森の左側へと走り始めた。ギーツが向かった場所はおおよその見当がついているようだった。
男がナヤカに顔を向けた。髪の毛が意思を持っているかのように持ち上がり、急速にナヤカに向かって伸びた。
リアはヴァン・キ・ラーゴを招喚した。外して持っていた髪飾りを投擲し、空中で形成すると男とナヤカの間に割って入らせた。男の髪の毛はヴァン・キ・ラーゴの腕に絡みついた。ナヤカは森の中に走って消えた。
「気が多い男は嫌われるわよ」
リアが言うと男は不敵に笑った。
「可愛い獲物は大好きでね」
「可愛いからって獲物とは限らないことを教えてあげるわ」
リアの宣言と同時にヴァン・キ・ラーゴが腕に力を込めた。男の髪の毛もまた力で対抗した。男の顔は笑ったままだ。
ヴァン・キ・ラーゴは力の拮抗した状態で徐々に位置を変えた。男の髪の毛を受け止めた位置から円を描くようにして男とリアの間に移動した。
男が鼻を鳴らした。
「主思いの穿刺体だな」
「出来がいいモンでね」
男とリアは剣呑な笑みを交わし合った。ヴァン・キ・ラーゴの腕と男の髪の毛が力比べをして震えている。