3-22 黒幕の判明
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
…こいつ、どこかで見た。
まさぐった記憶の中から一つの情景が浮かんできた。食堂で取り巻きに囲まれるドロスの姿だった。取り巻きの中の一人が男の姿と一致していた。
―黒幕は、やつか。
一連の事件の背後にドロスがいたと分かってもリアは衝撃を受けなかった。あり得べきことが眼前に示された。ただ、それだけのことだ。口先の友好など当てにはならない。
リアが睨んでいると男が言った。
「やはり、簡単に殺すには惜しいな」
男は唇の端を上げて笑っていた。リアは男の表情に女性種として不快な感情を抱いた。考えていることが手に取るように分かった。
まったく、どいつもこいつも。
いけ好かない思いを抑えながらナヤカを促した。
「ナヤカ、あんたはギーツの所に行きなさい」
「不意打ちを狙うような輩に公正である必要はないと思いますが」
ナヤカは二人で倒してしまおうと提案していた。リアは拒否した。
「二対一なんて楽勝過ぎてやる気にならないわ。―ついでにアルもお願い」
後の言葉が本心だった。ここで男の相手をすればギーツの救出が容易になり、ギーツが窮地を脱すればアルも助かる可能性が高まる。これしかないと思える選択だった。加えて、男の相手は自分が引き受けるべきだとリアの直感が告げていた。因縁を感じた。