3-19 アルの攻勢
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
もう一度光の球を使うつもりだった。今度は当てて打倒する。避けられても隙ぐらいは作れるはずだった。
「!」
進行方向の真正面に木が落ちてきた。先端から落ちた木が倒れかかってくる。
アルは逃げなかった。軌道を変えず、落ちかかる木の支点に向かって加速した。幹や枝のわずかな隙間を縫って脇をすり抜けた。地面に降りると反転停止し、光球を解除した。
視線の先で木が微塵に砕けた。破片のシャワーの中からゲフィラ・オルが現れる。
アルは頭上のロドに向かって光の球を発射した。同時に光を纏うと相手に向かって奔った。
直撃を期待した攻撃は弾かれた。光の球はゲフィラ・オルの爪によって打ち落とされていた。アルにとっては予測の範囲だった。防がれる隙に助走の力を借りてゲフィラ・オルの頭まで駆け上がっていた。
ロドは動かなかった。思念の糸のために両手を使っており、動きようがなかった。アルは纏った光を解除すると光の剣で糸を切った。伸びてくるノエラの手をかわし、巻きついていた糸も断ち切った。ノエラの体がぐらついた。
「ノエラっ!!」
ロドが叫んだ。足を踏み張り、糸を支える一方で自由になった左手を伸ばした。ノエラが手を掴もうとした。アルは、その間にゲフィラ・オルの頭上から飛び降りていた。光を纏って地上を目指した。