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3-16 駆け出す二人
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
丸屋根の建物で待っていたリアとナヤカは異変に気づいた。
敷地の奥からかすかに倒壊の音が聞こえ、アルが打ち上げた光球は昼の最中にも眩い光を放ちながら空を目指した。
リアは光球の意味を直感し、アルの名を呼びながら立ち上がっていた。救援を求める知らせだった。状況を理解したナヤカも立ち上がる。
別の音が遠くから響いて聞こえたのは、二人が森に向かおうとしたのとほぼ同時だった。何か重量のあるものが倒れる音だった。
「今度は何!?」
「ギーツ…」
「ええっ!?」
ナヤカの呟きはリアを慌てさせた。胞奇子二人の身に何かが起こっている。しかも同時に、別の場所でだ。対処できるのはリアとナヤカしかいなかった。
二人は森へと駆け出した。