3-4 魔族の誇り
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
リアが告げるとギーツは頷いた。
「そうかもな。おれたちは、結構なやつらから注目を浴びているのかもしれん。だが、もしレガート・ゼイルがナヤカを狙ったのだとしたら、おれは容赦しない。構わないな?」
「―構わないわ」
胸の重みを感じながらも、リアは明確に告げた。対立はアルをパートナーに選んだ時から覚悟している。少し構図が変わるだけの話だ。
「ですが、首謀者がレガート・ゼイルだとは思えないのですけれども…」
ナヤカが口を挟んだ。
「なぜだ?」
「わたくしたちを狙う理由がないからです」
「確かにな。だが、こう言っては何だが、今度はおれたちがとばっちりかもしれん」
「それにしては、相手の出方が強すぎます。それに、リアの部屋に残された髪の毛のこともあります」
ギーツが顎に手を当てた。
「おれたちも、どこか知らないところで恨みを買っているのかもしれないな。だとすると、最初に言ったようにおれたち全員に用があるという見方が正解か」
「闇討ちに集団での襲撃、本人は姿を見せずに攻撃を仕掛ける手口…。陰湿なところは魔族らしいと言えばらしいけど、王選びに参加した人物としては相応しくないわ」
「魔族にもいろんなやつがいるからな。胞奇子や調制士にそんなやつが混じっていても不思議はなかろう。さもなければ、よほど魔王の座に執着があるんだろう。おれは、誇りを汚してまで手に入れるほどのものとは思わんがな」
誇りについてはリアも同意見だった。大勢での襲撃など誇り高い魔族が使うべき手段ではなかった。魔王を目指す人間なら当然のように避けるべきものだ。力を自負する者は、余程の事情がなければ対等の闘いしかしない。