3-3 ひらめいた名
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
ナヤカを知っていたグナエグたちはもういない。姿は調制士同士知ってはいる。王選びが始まってからは胞奇子も目にしていよう。異名のみならリアのように聞き知った者はいるだろう。だとしても、二つの要素を結びつけて考えられる者がいるとは思えなかった。格別の興味を抱いていたリアでさえ出身地を知るまで気づかなかったのだ。
思考を深く沈めるリアの頭にひらめく名があった。
まさか、レガート!?
レガートはリアといつも一緒にいた。幾度かクランゼールの空姫についても語ったことがあるし、リアの執着についても知っている。ナヤカの情報を得る機会があれば、気づく可能性は十分にあった。
「どうした? リア。何か思い当たる節がある、という顔だな」
ギーツが声をかけてきた。リアは暗い思いがしたが、話すことに決めた。きっと、ごまかしてもごまかしきれまい。
リアがレガートについて語るとギーツは妙に納得した表情をした。
「なるほど。おまえさんが袖にした幼馴染か」
「レガートのこと、知ってるの?」
「知ってるも何も、ここにいる人間たちの間じゃ、ちょっとした語り草だな」
リアは顔をしかめた。
また噂の種か。魔族も結構、噂好きだ。しかも、直接語って聞かせたのはアルしかいないレガートとの間柄まで知られているとは。これでは、ナヤカの異名も考えているより広まっているかもしれない。