2-30 求法院の全てが敵だとしたら?
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
それならば全てが説明できる。捕らえた胞奇子と調制士の名を教えないことも、文礼員シャスカ・アレストについての追及をかわすことも、襲撃のついてのおざなりな対応も。
改めて考えてみれば、襲撃の相手を男性種としたのは確かに思い込みで、姿は確認していない。宿泊棟で思い浮かべたように相手はシャスカだったのかもしれない。
そして、シャスカを追跡しようとしたリアを止めたのも、スティアータが救援の手を差し伸べたのだとすれば理解可能だ。高硬度セラミデラ製の希少で高価な仮面も求法院が黒幕なら容易に調達できる。
理由は分からない。でも、院長を始めとする求法院の全てが敵だとしたら?
想像はリアを絶望的な気分に落とし込んだ。正体も判明していない敵だけでなく、仲間以外の何もかもを相手に闘わねばならない。王選びは始まったばかりで、リアたち四人は求法院の中で生活しているのだ。相手はいつでも好きな時に攻撃を仕掛けることができる。最終試練を待つまでもなく、嬲り殺されるのが落ちだった。全身が冷たくなった。