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魔王になるには?  作者: 水原慎
第三章 激突
174/312

2-28 スティアータとバルキッサ

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 リアが治癒室から出るとアルが待っていた。向かいのベンチから立ち上がると名を呼んだ。

「どうだった?」

「平気よ。何ともないって」

 リアは左の手首を振ってみせた。

 宿泊棟での騒動の後、二人は本棟の手前に位置する警護員の詰所まで連行され、そこで釈放された。

 スティアータ・バイソネルと名乗った警護員はリアに跪き、謝罪した。俯いた顔から表情は窺えなかったが、リアは声に笑いの響きを聞き取っていた。悪いとは思っていないようだった。

 もう一人の警護員バルキッサ・ガトリーは、警護員として当然の処置として謝罪を拒み、リアたちも了承していた。

「部屋に戻りましょ。多分、直ってるわ」

 アルが返事をし、二人は宿泊棟へと向かった。

 人に対して治療を施す治癒室があるように、物に対しては工房があった。求法院には相応の人員がいるので、あの程度の損傷なら作業も短時間で終わっているはずだった。

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