2-27 警護員との戦闘の終結
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
何やってんのよ、もう!
安堵する一方で、リアはアルを責めていた。
防御が得意なのはいいが、反射的に身を守ろうとするのはアルの悪い癖だ。今回もすぐに膠着状態に陥り、警護員が手出しできない代わりにアルも身動きできなくなってしまった。アルの光球は堅固で性能は良くても、狭い場所では長所である機動性が活かせない。
後で絞って―
リアの思考は中断された。チェーンによって空中高く持ち上げられていた。
「余裕ですね。闘いの最中によそ見をしていると―」
警護員の声がし、力のかかる方向が変わった。リアは頭から廊下に向かって落下していた。床面が迫った。
次の瞬間、リアはヴァン・キ・ラーゴに受け止められていた。残った髪飾りから生成したヴァン・キ・ラーゴが空中でリアを抱きとめ、足から着地したのだ。普段、手を使うのは力を注ぎやすいからであり、リアの相転儀は体に触れていれば発動できる。何度となく生成を繰り返したヴァン・キ・ラーゴならば現出までの時間も一瞬だった。
ヴァン・キ・ラーゴがリアの手首に巻きついているチェーンを掴んだ。リアを抱きかかえたまま片手でチェーンを引き、警護員と対抗した。力は拮抗した。
苦痛にリアは顔を歪めた。
鎖が手首を締めつけてきたからだった。生き物のように捩れ動いて締めつけ具合を増した。手前でヴァン・キ・ラーゴがチェーンを掴んでいるにもかかわらず、だ。
…何て技。このままじゃ―
骨の破砕を覚悟した刹那、闘争は終結した。
階段から次々と人が上がってきた。他の警護員たちだった。
後ろに目をやっていた警護員は無表情に顔を戻した。手首の圧迫が消えたのは同時だった。チェーンが緩まり、リアの腕から取れると力無く垂れ下がった。