2-24 警護員との対決
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「ちょっと、何するのよっ!? 騒ぎの元凶はあいつらよ!?」
「この状況では、あなた方がそうでないという保証はありません。真偽が判明するまで拘束させていただきます」
幾度となく顔を合わせながら初めて聞く相手の声にリアは渋い顔をし、口を捻じ曲げて笑った。
「…いいけど? こっちにも言い分がある以上、対応は手荒くなるわよ?」
「ご随意に」
警護員は不敵に笑った。状況を楽しんでいるとしか思えなかった。
警護員の後方を見やると、アルともう一人の警護員がもう一組のペアと闘っていた。得物による攻撃をアルは光の剣で、青い髪の警護員は素手であしらっていた。腕全体に相転儀のフィールドが薄く見える。
リアは警護員に目を戻した。細身の警護員の耳からピアスが一つ無くなっていた。留め具のみを残し、垂れ下がっていた本体が綺麗に無くなっている。拘束された左の手首に目をやると見覚えのある銀色の金属球があった。鎖も珠も大きさだけが違う。
あたしと同じ―。
リアと同じ、物体を触媒として使う相転儀だった。ただし、発想は真逆だ。リアの相転儀のような柔軟性を排除し、具現化の範囲を絞ることで精度を練り上げるタイプだった。
この鎖は断ち切れない。ならば―。
直感したリアは壁の向こうで待機させておいたヴァン・キ・ラーゴを短く呼んだ。廊下に躍り出たヴァン・キ・ラーゴが二体、リアの脇を通り過ぎて警護員に迫った。選択したのは、複数のヴァン・キ・ラーゴを使った多重攻撃だった。