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魔王になるには?  作者: 水原慎
第一章 邂逅
17/312

2-3 反目

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

「考え直せ、リア。そんな胞奇子を選んでどうする? 魔王の調制士になるのが君の夢だっただろ?」

「そうよ。だから、あたしは彼を選んだ」

「何を言ってるんだ。魔王になれるのはぼくしかいない」

 レガートの主張を聞いてもリアは何も答えなかった。

「儀式はまだだろ? 理由は何でもいい。今すぐパートナーの変更を願い出るんだ」

「無理よ。あなたも知ってるでしょ? 複数の証人がいる場合は儀式の有無は関係ないわ」

 リアが冷静に指摘するとレガートは黙った。視線をアルに向けると凶悪な表情を形作り、足を踏み出した。

「なら、今すぐこいつを始末して―」

「やめてっ!」

 腕を引き、リアはアルを背後に移動させた。背にかばう。射抜くようにレガートを見据えると残った手を胸のボタンに添えた。

「リア!?」

 レガートの顔には戸惑いがあった。

「ぼくと闘うっていうのか?」

「あなたがそうしたいというのなら」

 場の空気が張りつめた。しばらくの間、誰も声を発さず、膠着状態が続いた。

 レガートが搾り出すように言った。

「…ぼくは君と闘うためにここに来たわけじゃない」

「仕方がないわ。あたしは彼を魔王にするって決めたの。…そう。はっきり言っておくべきね。あなたの幼馴染のリーゼリア・バザムはもういない。今、この瞬間から、あたしはあなたの行く手を阻むわ」

 決然と言い放ち、リアはわずかに身を屈めた。戦闘への移行を予期した動作だった。アルは背後でうろたえている。

 レガートは一瞬、哀しげに微笑った。表情が力を失ったかと思うと哄笑し始めた。顔に片手を当て、体を反り返らせて笑った。ひとしきり笑うと二人を睨みつけた。

「そうか。そんなにそのチビ助がお気に入りかっ!? いいだろう。おまえがその気ならこっちだって考えがある。後でぼくの前に這いつくばる羽目になっても知らないからなっ!」

 言い捨てると、レガートは荒々しい足取りで戻っていった。ホールにはリアとアルの二人だけが残された。

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