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2-19 はぐれ者の四人
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
…なるほどね。
リアは感心していた。
ギーツは、ただ感覚に従っているだけの人物ではない。自己抑制をすべき時と方法を知っている。リアにとって自己を統制する能力は大事だった。求法院での生活はもちろん、外においても自己規律は重要になる。自由だからと好き勝手に生きていれば、自堕落になってどこまでも落ちていくだけだ。リアはギーツという男の性質を理解し始めていた。
「あたしたちも行きましょ」
リアが声をかけるとアルも動き始めた。並んで歩くリアの頭に一つの考えが浮かんだ。アルたちの有様だった。
故郷を追われた追放者に、魔族にも忌み嫌われる享楽者、それに、殺し過ぎて疎まれた殺人姫―。
そこまで行き当たってリアは気づいた。考えてみれば、つまはじきにされていないだけで自分も同じだ。でき上がった世界の仕組みをひっくり返そうとしている異端者だ。
よくもこれだけ見事にはぐれ者ばかり集まったものだ。
リアは、皮肉と明るさの混ざった笑みを浮かべた。