2-15 健気なナヤカ
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
リアはナヤカに目を向けた。ナヤカはギーツたちに視線を向けている。リアはナヤカの声音に優しい響きを感じ取っていた。ナヤカなりに気を遣っているのだろう。
「そ。ならいいわ」
小さく笑って、リアはギーツたちに視線を戻した。
しばらくの沈黙の後、ナヤカが口を開いた。
「わたくしは、いつか、わたくしの存在がギーツの障害になるのではないかと危惧しています」
リアはすぐに答えを返さなかった。ナヤカのことを考えていた。
健気なことだ。
それがリアの感想だった。
ギーツはナヤカの昔の行状など気にしていない。確信があった。あのお気楽男は見た目で選んだこの女を、その性に殉じて守り抜くつもりなのだ。闘う相手が誰かなどどうでもいいに違いない。
どうしてこんな女が殺しをやり過ぎて異名まで授かることになるのだろう。
馬鹿らしい気分になったリアは一つ訊いてみた。
「異名のことは話したって言ってたわよね?」
「はい。出会ったその日に打ち明けました。到底笑って聞いていただけるお話ではないのですが、なぜか途中、何度も大笑いされまして…。話が通じていないのではないかと、いささか当惑いたしました」
思った通りだ。