2-3 自体強化タイプ
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
グナエグが舌打ちした。駆け出すのと同時に炎で身を包み、獣人形態を取った。猛々しい炎の塊と黒く輝く穿刺体が激しくぶつかった。
…典型的な自体強化タイプね。
リアは、グナエグとヴァン・キ・ラーゴの闘いを後ろから観察した。アルから話は聞いていたが、リアは初見だ。
相転儀には様々な種類があり、グナエグの駆使する力は身にまとう形態だった。攻撃力と防御力を同時に得る優れものだ。通常、相転儀は年齢や性別で優劣がつかないとされている。しかし、グナエグのように肉体を媒介とした場合、男性種としての頑強さや体力がプラスに作用する。例外的で、実際に数の少ない手法だった。
自体強化タイプは、応用力や攻撃到達範囲が犠牲になるため敬遠されることが多い。代わりに直接敵と対する場合、攻撃の有効性やパワーの伝達が格段に向上する。事実、ヴァン・キ・ラーゴの形勢が悪い。グナエグの動きは速く、体を入れ替えながらの変化する攻撃をヴァン・キ・ラーゴがかろうじて受け止めていた。グナエグは小柄な体格を相転儀によってうまく補っていた。