2-2 いたぶってもいいのは、あたしだけ
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「おまえに用はない」
相手の男、グナエグが初めて口を開いた。
「そっちになくてもこっちにはあるのよ。さっきは、あたしの胞奇子が世話になったそうね」
「おれたちの邪魔をするからだ」
グナエグの鋭い視線をリアは正面から受け止めた。場が緊張感を孕んだ。
「リア、あの方たちが用があるのはわたくしです。あなたはお控えください」
ナヤカのいつも通りの声を聞いた瞬間にリアの方針は決まった。二対二で相手を撃破する。アルに手出しされたお返しもしなくてはならない。ナヤカの意向もグナエグの目的も知ったことではなかった。
「アンタたちにはアルの落とし前をつけてもらうわ」
「どうあっても邪魔しようってのか?」
グナエグの声に苛立ちが混じる。
「当たり前でしょ!? アルをいたぶってもいいのはねえっ! 調制士であるあたしだけなのよっ!」
リアは肘を張り、広げた手を胸に当てて宣言した。
「訓練の間違いでは…?」
見上げるナヤカの疑問は無視した。先手とばかりにヴァン・キ・ラーゴを突進させた。