1-19 仲の良いアルとナヤカ
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
アルとナヤカが到着し、四人は少し遅れた朝食を取った。ナプキンはナヤカがもらっていたもので間に合わせた。
食事も終わり、落ち着いたところで金属製の容器に手をかけながらナヤカがアルに声をかけた。
「アル、アイスなのですが、あなたもいかがですか?」
「そうなんだ。せっかくだからいただくよ」
ナヤカは小さな器に入ったアイスを取り出すとスプーンを添え、アルに差し出した。アルが身を乗り出して受け取る。
ギーツが面白いものでも見つけたかのように表情を変えた。
「お、仲良しさん。何かあったのか?」
「はい、少々」
「ほお」
ギーツは今度はアルに視線を送った。
「この気難しい姫君を手なずけるとは、さすがはおれの見込んだ男」
「手なずけるって、ペットじゃないんだから」
「いやいや。素晴らしい手並みだ。自慢していいぞ、アル。おれには他にも言葉を交わすやつらがいるんだが、ナヤカはその誰とも馴染まなくてな。というか、敵愾心が隠せない、というのが正解か」
「でしょうね」
リアは頬杖をつきながら言った。
魔王になれる人間は、ただ一人。手を組んだ胞奇子を魔王に仕立てようとする調制士にとって全ては敵なのだ。その点では自分も同じだ。調制士の性質次第ではナヤカのようになっても何の不思議もなかった。