1-8 グナエグVS.アル
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
「離れないで」
アルはナヤカに静かに指示を出すと光球を展開した。突き出した手の平から光が広がり、曲面を描きならアルとナヤカを包んだ。
突き出された獣人の炎の爪が光球とぶつかった。衝撃音が響いた。
「!?」
炎で象られた獣人の面が歪んだ。衝撃音は打撃の凄まじさを物語っていた。にもかかわらず、光球は破壊されてはいなかった。位置まで変わっていない。
グナエグは手による打撃を繰り返し、効果がないと知ると足を使った。足刀での攻撃が無効に終わると光球に腕を回して持ち上げた。
「!?」
姿勢の変化に驚いたナヤカはすぐに気づいた。体が重力に逆らっていた。立った姿勢のまま斜めになっているのに下に落ちない。しかも、体は微妙に重くなりながらも動かせた。ナヤカは不思議な感覚を味わっていた。
頭上高く掲げられた光球の中で、アルとナヤカは横倒しになった。光に支えられ、下方には落ちずに済んでいる。前方からはマリュールの吐き出した泡が緩慢に迫っていた。
グナエグが光球を泡に向かって投げた。