4-14 同盟関係
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
それに…。
リアは正面のギーツに視線を戻しながら思った。
ギーツがアルと闘いたいなら正面から、おれの挑戦を受けてくれ、とでも言いそうだった。
胞奇子には一度だけ正式な闘いを挑む権利が与えられている。アダランというその権利は、王選びに参加した者の荒くれた感情と暴力への衝動を解消するための手段だった。だが、二人の間でなら危険な制度を使うまでもない。他にいくらでも方法はあった。
現場に残された金色の髪のせいで短絡的にギーツを襲撃者と決めつけてしまったが、冷静に考えれば調制士から狙うような回りくどい手段を使うタイプとは思えなかった。
「ギーツ」
「ん?」
リアが物思いにふけっていると、それまで黙っていたナヤカが声を発した。
「同盟相手を疑う人間と行動を共にする必要はないと思われますが」
平生と変わらぬ無表情ながら声は硬く、冷たかった。リアは憤慨した。
「同盟? 何言ってんの、アンタ。あたしたちは利害が一致したから一緒にいるだけよ。変な期待しないでほしいモンね」
ナヤカはリアに冷ややかな視線を投げた。
「人はそれを同盟と呼ぶのですよ、リーゼリア・バザム。あなたこそ同盟という言葉に決め事以上の何かを期待しているのではないですか?」
面当ての言葉を投げかけられ、リアは酷薄に目を細めた。場が険悪な雰囲気を帯びた。