4-13 相手を信じる
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
ギーツが笑って言った。
「謝ってもらっておいて何だが、いいのか? そんなに簡単に疑惑を捨てて」
「いいわよ、別に。元々可能性の話だもの。しかも、とっても薄い、ね。それに、あなたを問いつめたのはアルのためもあるし。そのアルがやめろって言ってるんだもの。あたし一人ムキになって、バカみたい」
「ごめん、リア。でも…」
「いいのよ、アル。あなたは正しいわ」
本心をリアは語っていた。
魔族は一度受け入れた相手は信じる。それは同性種でも同じだ。他者を容易に信じないからこそ信じたら信じ続けるのだ。
リアの父親もそうだった。商人だった父親は容易に人を信じず、どんな相手にも検証を重ねた。疑いに疑いを重ねた上で信じた相手は、信じ続けた。それでもなお時に騙されながらもそれ以上の協力を得てのし上がり、最終的に爵位まで獲得した。そんな父親はリアにとって自慢だった。
アルの振る舞いは根拠こそ違え、リアの父親のやり方に通じていた。アルがそう決めたのなら従うだけだ。