3-18 出会う前からのマブダチ
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
得心できずにいる二人を知ってか知らずかギーツが言った。
「まあ、何にせよよかった。この企てを成就させるための難関は、二人のご婦人方を説得することだったんでね」
「二人?」
「いずれバレる、というか、既に薄々感づいてるかもしれんが、ナヤカはおれがアルと友達になるのに反対でね」
ギーツがアルに苦笑を向ける。リアが代弁した。
「まあ、そうでしょうね。寄り集まってる連中だって、情報交換とか孤独感の解消とか、何がしか狙いがあるもの。他の胞奇子への思い入れなんて王選びでは邪魔にしかならないわ」
「おれはそうは思わんがなあ」
今度はリアが苦笑する番だった。やはり、この男はどこか違う。他のペアとの関わり方に関して言えばナヤカの方がよほど魔族らしかった。
「それはそうと、あたしとナヤカが問題って、アルのことは考えてなかったの?」
「アルがおれの申し入れを拒むわけがないじゃないか」
疑いの欠片も感じられない言い草に、リアはさらにツッコミを入れた。
「何でよ?」
「何でって…」
ギーツはアルを見つめた後で一方的に肩を組んだ。
「おれとアルは出会う前からのマブダチなのさ。な、アル?」
「え? あ、えっと…」
「何よ、それ」
ギーツの問いかけにアルは答えに詰まり、リアは吹き出した。
そんな三人の前で、独りナヤカだけが面白くもなさそうな顔をして座っていた。