とあるコミュ障の菱崎さん(1)
今日もまた、一日が始まる。
私は菱崎 茅夜。高校二年生だ。
得意教科は化学、苦手教科は国語。部活は美術部、運動が得意ではないから。
そして、コミュ障だ。
「光ー!弁当食べよー!」
「待ってよぉ!あたし弁当忘れちゃってぇ…購買行って買って来なきゃ…!」
「もー!それならこの美沙さんのお弁当をお食べ!山盛りだから大丈夫ー!」
「えっ!?ありがとぉ美沙ぁ…!」
なんて友情ごっこしてるクラスメイトを片目で見る。くだらない。弁当位ちゃんと持ってこいよ、馬鹿か。
正直羨ましいけどな!!私も弁当忘れたら助けてくれんのかよ!えぇえ?!
混ぜてくれください、まじで。
はぁ…友情に飢えてる…愛に飢えてる!!
誰か私のこと愛してよぉおおおお!!
「愛してあげよっか?」
は?
「えっ誰やねん」
「茅夜ちゃんだよね?僕は加賀谷 粋。僕が君の事愛してあげるよ。」
「は?いやだから何でってかそんな事言ってないよね?え?私口にした覚えねえよ?」
「まあまあ、じゃあ僕の彼女になってくれるよね!茅夜ちゃん!僕の事"粋"って呼び捨てにしても良いよ!」
「話聞いてんの?え?何アンタの耳飾りモンな訳?詳しく説明してくれる?ちょっとかなり理解出来ないんだけど」
「じゃあ屋上でご飯一緒に食べよっか、恋人っぽくて良いと思うでしょ?さー弁当持って!早くしないと飢え死にしちゃうよ?」
「話聞いてねえよな、お前。聴く気ねえだろ絶対。私弁当持ってねえからお前一人で屋上行けや、後名前呼びとか絶対しねえからな?期待してたら耳ちぎんぞ?」
「もー照れちゃってー!弁当位分けてあげるから!ほら、行くよ!」
「照れてねえよ馬鹿か」
何かわかんないこの男、私にものすごく構う。楽しいのだろうか。
弁当くれるとか言う優しいトコにときめいたりなんかしてない!絶対!!
まあ、コイツとは案外話せそうな気もしないでもない。