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倒してくれる勇者募集中  作者: ミッキー・ハウス
第一章 幼少期(隔離編)
31/39

お迎え


俺が呆気に取られる最中、身を屈めた竜の背から颯爽と降りたミッキーは一度こちらを見て少し微笑んでから、いまだ尻餅をついた状態で茫然としているオルブライト子爵へと数歩前に出た。



「聞こえませんでしたか、状況を説明していただきたいと申し上げたのですが?」



俺に微笑んだ時の雰囲気と異なって、問いかけた声音が一気に冷気を纏った。


おおう、怖ぇえー。

以前、勝手に庭に出た時に見たキリッとした白騎士隊長がいるよ。


今更だが、降りてきたミッキーの服装が余所行きの格好をしていることに気づいた。


いつものミッキーじゃなーい!

あれだよ、中世騎士の姿絵そのまんま!


腰に()いている剣はいつものだけど、楯に交差する竜の翼みたいな紋様が胸に描かれた白地に金の縁取りがされた裾が少し長めのサーコート、それと同色のズボンは式典などで着る礼服じゃないかと思うほど白い。

コートの下には甲冑も着ているみたいで、威圧感がパネェ。


あれが白騎士隊の格好なんだろうか?

マロと出会った時だったか、上着を羽織って館を出ていくミッキーを見たことがあるけど、夜だったので服装までよく見えなかった。


もしも白騎士隊としてあの服を着ているってことは、騎士としてか隊長としてかの出動があったのか。

考えたくない可能性が脳裏をチラついてるんだけど……今忙しいみたいだから、聞くのはあとでいいよな。あとで。


ミッキーの雰囲気に呑まれかけていた子爵は、側にいた隊長さんに何か言われてハッとなったらしく、ようやっと威厳を保つ努力をわたわたしながら始めた。

もう遅いけどさ。



「そ、その人間が我が領内に侵入したのだ! 追いかけるのは当然だろう!」


「人間を追いかけていたと? して、どこにその人間がいると仰るのです?」


「貴様の目は節穴かっ! それ、そこに……!」



さっきまでのへっぴり腰はどこへやら、すごい剣幕で捲し立てながらミッキーから視線を移したオルブライト子爵は言葉を切り、まじまじと俺を見つめてくる。

見た目が三十歳くらいのおっさんに穴が開くほど見つめられても、気持ち悪いんだけど……。



「これは……」


「なにを勘違いされたかは存じませんが、こちらにいる方を追い回していたのは事実、ということを認めたと取ってよろしいですね?」


「ち、違う! さっきまでは欠片も……っ!」



突然どうしたのか、顔面蒼白になりながらオルブライト子爵が弁明を始めたけど、よくわかってない俺は首を傾げる。

相手の慌てぶりに呆れた様子でミッキーは聞く耳を持たずに話を続けた。



「この方がどなたか……内包される力を感じられたのなら、私が直接口に出さずともおわかりになったはず。オルブライト子爵、もう反論はございませんか?」


「しっしかし、確かに何も……それに、これほどの力なら貴様もわかるはずだっ! 先程までは露ほども感じられなかったと!」


「今は不安定になられているか、無意識に調整が出来ているのか判断しかねる時期です。誰しも経験する道でしょう」


「そ、それなら選定(・・)前であろう! 創世記祭の神王の登城もまだだというのに、なぜこのようなところに出しているのだっ!」


「選定前であるからと塀から出さぬ決まりなどありません。むしろ、これから見聞を広げることも兼ね慣らしていたと考えていただければ結構です。それと神王の到着が遅れており、いまだ王都に報せが来ていませんので、創世記祭も明けたことですし気晴らしに外へ出ていたのです。とはいえ、そのような理由を楯に先程の状況を言い訳しようなどと思いませぬよう」



えーと……もう追いかけられないと安心していいんだよな。エルも警戒態勢というか、光の玉をいつの間にか収めているし。

んで、なんかよくわからない難しい話に突入したから俺自由行動していいかな?


実はさっきからウズウズしてたんだよ。

ミッキー達から視線を外して勢いよく目標へ視線をやると、気づいた竜が素早く顔を俺の方へと向けた。


降り立った位置からしても三メートルほど離れているけど、ちょっと休憩するための山小屋くらいデカいから見下ろされると迫力がある。

くっ、こんなことで俺の好奇心を断てると思うなよ!


負けじと視線をそらさずに俺が一歩踏み出せば、なぜか竜も一歩後退する。

二歩踏み出せば、二歩後退。


うおおおいっ! なんで下がるんだよ!

あれか、ご主人様しか触っちゃイヤ、なタイプか!

うあああんっ、人に慣れてると思ったのに触らせてくれない!


けど、地団駄を踏みたい気持ちで俺が止まっていると、今度は竜が首を傾げるようにしながらゆっくり顔を近づけてきた。

え、うそ。もしかして触れる?


驚きながらも飛びつきたいのをじっと我慢していれば、俺の頭に触れるか触れないかのところまで竜の鼻先が来た。

スンスン匂いを嗅いだあと、ムフーッと満足げな鼻息が俺の額にかかる。


ふふふ……十二分に匂いを堪能したか? なら、俺も我慢の限界だ!


俺は飛びつくように竜の鼻先を両手で挟んで掴んだ。鱗に覆われた硬い皮膚からひんやりとした感触が伝わる。

竜、捕ったどーっ!



「ピッ!?」



竜はびっくりしたのか、兎みたいな鳴き声を発したあとは目を見開いたまま微動だにしない。


鳴いた? 今、鳴いたっ!?

見た目に寄らず可愛らしい鳴き方じゃないかっ!


しかも大人しいよ、こいつ。

足の鉤爪を見る限り攻撃される可能性もあったけど、初めて竜に触った感動で危険とか考える思考が吹き飛んだ。



「ふぉおお……竜だよっ、ドラゴンだよ! ドッラゴン、ドッラゴン♪」


『それは飛蜥蜴(ひとかげ)だよ、ユリシーズ』



ひとり舞いあがっている俺に水を差したのは、エルの一言。


ひとかげ? ポケットにinするモンスターの名前?

いや、それは関係ないか。

でも、以前に聞いたことある気がする……確か狩りに使われる動物の名前だ。


確認しようと顔だけエルの方を振り返れば、困った子を見るような眼差しで俺を見おろしている。

な、なんだよ。

いいじゃないか、ちょっと子供みたいにはしゃいだって。



「これが蜥蜴? 竜じゃないのか?」


『飛蜥蜴は竜種ではあるけど、分類は蜥蜴だ。おそらく君の言っている竜ってのは、四本足の他に背中に翼があるものだと思う。結構大型の部類に入る種だよ』



なにそれ。

ネコ科ネコ属みたいな分類か?


てか、やっぱり分類あるんだ。


あと、こいつって活動は昼間だけ?

蜥蜴って変温動物だけど体がこれだけデカいなら、もしかすると慣性恒温かな?


飛蜥蜴と呼ばれる竜とフォーリンラブ的な見つめ合いをしていると、俺が現実逃避として放置していた方から怒声が響いた。



「くっ、本来ならお前のような父親もわからぬ私生児が……この私に声をかけることもできぬ身分の貴様がそのような口を叩けるのは、養父であるレアード卿のお陰だということをわかっているのか!」



おおう、こっちも話が違う方に流れ始めてる。聞こえてきた話を聞きかじっただけだけど、今関係ないことで文句言い始めるとか最低だなおっさん。

相手にしていないのか、言われた本人であるミッキーはさらに呆れている。

自分が悪かったのに素直に頭下げられない大人は、周りから見ていても呆れるぞー。


で、今の内容からしてミッキーは私生児なのか。そして、養父さんはお偉いさんなのか?

あれ? だったらミッキーはなんで俺の従者なんかやってるんだ?

盗み聞きした記憶じゃ昇進が関係あるみたいだけど……あれか、子爵の態度から察するに私生児のミッキーがお偉いさんの養子になったことに周囲が反発していて、実績を突きつけて黙らせるために昇進したいとかなのか?

だとしたら、今回の俺の脱走ってまずくないか? ヤバくないか?

偉くなりたいだけだと思ってたから、かなーり誤解してたぞ俺。



「それは、今関係ないんじゃないか? オルブライト子爵」



「努力してたんだね。苦労かけてごめん、ミッキー」と内心で謝罪していたら、何の前触れもなく声が降ってきた。

驚いて俺が顔をあげると、もう一頭……。



「キターッ! 竜キターッ!!」



俺が喜んでいる後ろで『だから、飛蜥蜴だってば』なんて言ってるエルの呟きは聞こえない。聞こえないったら聞こえない。

降り立つ前にバサバサと()ばたいたので、さっきのミッキーよりも静かにズンッ! と軽く地面を揺らした程度で着地した飛蜥蜴。


並ぶように着地した飛蜥蜴から降りてきたのはドナルドだった。

こっちも鎧を脱いでいて、騎士服に着替えている。ミッキーのとは違って、蔦を巻く薔薇に交差する二本の剣が描かれた紋様が入った赤地に金の縁取りのサーコート。



「さーて、今しがたの言葉……私としても聞き捨てならない。今、この状況での経緯でミッキー・レアードを糾弾する必要があるのか、正当な理由を聞かせてもらおうかオルブライト子爵」



ドナルド、アンタは「俺」が一人称じゃなかったのか?

つーか、子爵相手に態度デカいな。

騎士だろ、アンタ。いいのか?



「……も、申し訳ありませぬ、マドック伯爵」



子爵がバツが悪そうに視線を外して少しだけ頭を下げた。

って、伯爵かよッ!


吃驚してドナルドを見あげていると、ニヒルに笑う表情が返された。

ああ、これは俺が何に対して驚いているかわかった上で、「どーだ、驚いただろガキー」って心の中で言ってる。絶対言ってる!



「次期、ってのが抜けてるぞ。オルブライト子爵」



ドナルドは俺から視線を外し、腕組みをして目を眇めながら言い返した。


次期かよ!

それでもびっくりだけど!


数では劣勢なはずなのに、地位では優位な状況。

双方ちゃんと話し合いができるようになったので、助かったは助かった。だけど、俺まずくない?


すこーし考えてみれば、脱走の言い訳より大きな問題が発生している。

本来駆除対象の、しかもかなり大型の魔獣(マロ)を連れている状態を見られた。

そして、ミッキー達がいる時点で国内と確信したけど、国内の貴族の領地といえど、その境は国境に近い感覚じゃないだろうか。

だとしたら、知らない内に他人の領地に入っちゃった、エヘ♪とか笑って許してもらえる可能性ないよ。


このあとの展開が怖い。

今までだって軟禁状態だったのに、脱走したってことで問題児認定、幽閉決定、一生塀の中……か、考えるだけでも嫌だぁあっ!



「しかしながら、マドック卿……そこにいる子供は我が領地に」



って、おっさん! なにを言い始める気だっ!?

と、俺が慌てた時。


後ろからザッザザッと草を払いのける断続的な、本来は聞き逃してしまうはずの獣が野を駆ける足音が聞こえてきた。

それにいち早く声をあげたのは子爵側の兵達。



「魔獣! しかも、狼です。狼の群れが――っ!」


「ま、魔獣だとっ!?」


「馬鹿な、この辺りにあんな群れは……!」



騒然となる兵達の視線を追うように振り返れば、五百メートル以上先のなだらかな丘陵から森に切り替わる境目から灰色、茶、赤毛の三色に分けられる狼の群れが、ヴォフ、ガウガウと吠えながら俺達の方に迫ってきていた。

俺達のいる場所が小高くなっている場所ということもあって、群れと距離とその数の多さが目に見えてわかる。



「急ぎ隊を組めっ! 」



隊長さんが指示を出す声を張りあげ、突如現れた魔獣の群れに硬直している子爵を叱咤しながら山羊に騎乗させる。

そのうちに俺を囲んでいた兵達は、子爵を中心に置いた隊形を組んで守りを固めた。


その速さに俺が「おおお!」と感心していると、「失礼します」とミッキーに後ろから抱きかかえられた。



「ドナルド、ユリシーズ様と先に飛べ! 私は群れを引きつける」


「馬鹿言え! 子爵(あんなの)は放っておけ。街道から外れて森の中に入るのに、軽装備で来たのは自業自得だ。マヌケの手落ちを補うのに、なんでお前が体張るんだよ」


「そんなマヌケでも、我がアデレスト騎士団が守る民のひとりに変わりはない」


「だからってな……!」



俺の頭上を二人の口論が飛び交う。

あの、どっちでもいいんだけどさ……俺、宙ぶらりんなんだけど。

両脇をしっかり持たれてドナルドに差し出されたままの状態で、手渡される荷物みたいになってるんだけど。


でさ、ミッキー……知ってるかわからないんだが、脇弱いんだよ俺。

お前が、ぐわっしと掴んでる場所がさ、くすぐったくてしかたないんだよ。

けど、この周囲が緊張状態の中で笑っちゃいけないって自重しているんだ、これでも。だから早く放してくれると助かる。


ぷるぷる震えながら笑いそうになるのを顔を俯かせて必死に我慢していると「ユリシーズ様……」と名前を呼ばれて、ミッキーにぎゅっと抱き締められられる。ついでに頭をひと撫でされた。

いや、だから放してくれ。

横抱きにした体を支えるため片手が脚の裏に回されたのはいいが、頭をひと撫でした片手が脇に戻ってきて……ちょっ、くすぐってーよっ!


どうにか脇にある手の位置をどかそうとミッキーの肩に手を置きながら身じろぎすると、サーコートの肩にゴチッと頭が押しつけられて、そのままずっと頭を撫でられ続ける。

とりあえず脇から手が離れたのはいいが、一体ミッキーは何がしたいのか。


サーコートの下ってやっぱ鎧なんだなー、頭撫でられるままに押しつけられたこめかみが痛いんだけど放してくれねーかなー。

身じろぎもできずにそんな感想を内心で呟きながら、なんだかよくわからない状況に陥っていると、移動を始めた子爵側から焦った声が飛んできた。



「まずい、囲まれたぞっ!」



その声につられ兵士の視線を辿ると周囲にある森の中、狼の群れが駆けていくのが木々の隙間からチラホラ見える。

逃げ帰ろうとしていた子爵の隊は、森の中に入る手前で引き返してきた。


正面から来た群れは目に見える囮で、実は森の中に入った途端に奇襲される作戦か。

失敗しても正面からくる群れと相対すれば、森から出てきて後ろから攻撃可能だ。

囲まれたら一網打尽ってわけだ。

動物ながら作戦立案すげー。


森の中の狼はちょっと姿が見えちゃったけど、その辺は動物だしご愛嬌。

気づかなかったら、ぱっくりやられてるのは子爵の隊だ。


隊長さんがミッキーのとこまで山羊で駆け寄ってきたところで、俺は足元にゆっくり降ろされ解放してもらえた。ふぅ。



「レアード殿、誠に勝手な願いながら子爵様だけでもお連れ願えませんか。飛蜥蜴が飛び立つまでの間、我らが円陣を組み守ります」


「馬鹿か、その重そうな子爵ひとり乗せたらミッキーが乗れないじゃねぇか。第一、飛蜥蜴は王族専用。王族から許可貰った奴じゃねーと乗せられない決まりがあるのは知ってるよな。それを有事でもない、たかが魔獣から逃れるための自分勝手な都合で破れと?」



青くなってる子爵に代わって隊長さんが必死に懇願するけど、ミッキーが答える前にドナルドが一蹴した。


ちょっ、飛蜥蜴は王族から許可されないと乗れないの?

しかも、王族専用って……なんつーもんに乗ってきたんだアンタらっ!



「だいたい、アデレストの忠臣を誇るなら逃がせという前に、楯になっても守ろうとすると思うが?」



ドナルドの皮肉に誰を、と問う前にガクブル震えている子爵以外の隊長さん達の視線が俺に集まる。

じっと見つめられたあと、はぁ……、と溜息が隊長さんの口から洩れた。

……おい、人の顔見て溜息ってなんだ。



「確かに、判断に欠けておりました。……全員、円陣を組み抜剣っ!」



山羊から降りた隊長さんの怒号のような号令に、子爵本人は「何を言っている!」と声を荒げたけど兵達は次々に山羊から降りて俺達を守る様に背を向け円形になり、剣を抜いた。

子爵より隊長さんが兵達に信頼されている証だよな。

見たままの感想を抱くと同時、その輪をぐるりとひと回り大きく囲んだ狼達は鼻面に皺をよせて牙をむき出しにし、今にも飛びかかりそうな勢いでガウガウ吠え始める。


その多さに、子爵はまた黙った。きっと怖いんだろう。

兵達が牽制して近づかせない距離にいる俺も怖い。

動物は好きだよ、基本的に。

しかし、敵意むき出しの威嚇しまくっている動物に近づいていくほど馬鹿じゃない。


そんな狼達はまだ増えるらしく、丘陵の向こうにようやく群れの最後尾が見えた。



「デカいのが来たぞっ!」



隊長さんの声で、全員に緊張が走る。

後ろから追いついてきたその群れの中に一際大きな体躯で、風を切りながら丘陵の草原を駆けてくる狼がいた。


走る度に黒い毛並みが太陽の光を反射して波のようにうねる。

狼らしい精悍な顔は額を境に白い毛になっていて、ちょうど黒い毛との境目で丸く眉をかたどっている。

あれは……。



「マローッ!」



両手をあげて名前を呼ぶと、走りながら「ワフッ!」と大きく吠えたマロ。

ミッキーが駆け出す俺を捕まえるためにとっさに伸ばした腕をかわし、兵達の間をすり抜けて囲んでいる狼達の目の前に出る。

勢いを殺さずにマロが側まで駆けてくるとボス的な位置にいるのか、狼達は分かれて道を開けた。

けれど、目の前に来たマロは狼達を従えてるような威厳はない。

だって、久しぶりに森であった時のように耳を伏せ、プルプル震えながら前足を何度もふみふみして尻尾を千切れんばかりに振っている。



「お前、仲間を連れてきたのか?」


「ウォフッ!」


「助けに戻ってきてくれたのか、マロ!」


「ウォフッ、クゥーン!」


「いい子だー、マロー!」



逃がしたマロが戻ってきた理由が、言葉を話せなくてもわかった。

目の前にあった大きなマロの顔を抱きしめ、思わず頬ずりする。フルスイングしまくってる尻尾のせいで俺も振られるけど気にしない。


この時、俺の可愛い狼が俺のために仲間集めて助けに戻ってきてくれた感動と、もふもふに触れている幸せで胸がいっぱいだった。




「では……そろそろ、その魔獣のことを説明していただけますか、ユリシーズ様?」



俺が襲われることなく魔獣(マロ)に頬ずりしまくっていることに盛大な呆れか安堵かの溜息が異口同音で聞こえたのと同じタイミングで、後ろから問われた白騎士隊長の声にピキリと体も思考も固まる。

今、振り返るのが怖かったりする。




飛蜥蜴を二頭も従えてきた従者と護衛がいる現実を忘れてた。



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