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2002年12月-1

2002年12月2日(月)

 オレの人生ヒマつぶし。

 別に80まで生きようなんて思わない。

 多分30まで生きている確率は4割強ってところだ。

 27までなら7割ぐらい。

 特に生に未練はない。

 普通の人が人生で経験する事のうち、自分も経験してみたいと思う事は、一通り経験したと思うし、これからの人生、特にやりたい事もなし。

 こんなポンコツな体、くれてやる。

 好きにしろよ。好きなところ切り取って、持って行けよ。

 オレの人生ヒマつぶし。

 何がヒマなんだろう…?



2002年12月6日(金)

 散歩した。郵便局にお金をおろしに行った。

 キャッシュコーナーには先客がいた。一組のカップルだった。

 順番を待ってお金をおろし、これからの予定を考える。

 歩く。商店街を歩く。来た道を戻る。

 コロッケ屋の前にさっきのカップルがいた。

 コロッケを買っていた。多分、歩きながら食べるんだろう。

 昔のボクと彼女のように。

 いろんな店先を冷やかしながら、商店街を歩く。ひたすら歩く。

 また、さっきのカップルに出会った。

 マックの前で、コロッケを食べていた。

 2人で、仲睦まじく。

 横を通り過ぎてボクは歩く。

 一歩ずつ踏み出してボクは歩く。

 季節はもう12月。

 過去の事は何一つ変わらない。

 あるのは今と未来だけ。

 だからボクは歩く。

 一人でも、歩く。

 だってそれ以外に何が出来る?



2002年12月10日(火)

 学校に行った。

 かなり勇気が必要だったし、薬の力も借りた。

 それで、やっと学校に入れた。

 でも、心はずっと震えてた。ずっと、震えてた。

 久しぶりに学校の友人に出会い、話をした。

 でも、心は安らがなかった。ずっと、緊張してた。

 かなりムリしてるなって、自分でも分かった。

 そんな時、友人から、ある教授からの伝言を聞いた。

「元気出せ」と。

 嬉しかった。素直に嬉しかった。

 その教授はオレの研究室の先生じゃないし、特にK先生の授業を真面目に受けたわけでもない。

 でも、事あるごとに心配してくれる。

 オレの事を気にかけてくれる。

 それは遡ること2年前、オレはある必修の単位を落としかけた。

 落としたら留年確定だった。

 そんな時、廊下で教授に出会った。

「君、〜の単位落としかけてるんだって?」

「あ、はい」

「泣きついてでも単位をもらえよ。キミたちの年頃の1年は普通の1年とは違うんだから。青春の大事な時期を無駄にすることはない」

「…はい」

 結局、頼み込んで単位を貰った。

 教授の言葉がなくても、単位を貰ってたかもしれない。

 でも、教授の言葉が励みになったことは事実だ。

 ありがとう、先生。

 先生の何気ない一言が、ボクにとっては何よりも嬉しい。




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