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掌編小説

不細工

作者: 斎藤康介

 私が知る中で彼ほど不細工(・・・)な人間はいない。彼は不細工さのオールマイティーと言ってもよく、容姿から生き方まですべてパッとしない。

 前歯は欠け、鼻は潰れ、目は一重で近眼。背は低く中肉の体つきは毛深い。

 何をやっても不器用そのもの。運動も苦手ときた。

 それにしゃべりはどもりがちで極度のあがり症でもあった。


 私の友人だ。


 彼といる救われる。

 劣等感にさいなまれ続けた人生の中で、唯一見つけた安息だ。

 彼の傍にいるときだけ自分を肯定的にとらえることができる。


 むろん彼にもいいところがある。

 人が良い。親切だ。礼儀正しい。

 何をやっても他人の半分くらいしかできないのに一生懸命だ。

 失敗することが分かっているのに諦めないチャレンジ精神は尊敬に値する。

 その精神の高尚さはもはやひとつの美である。


 彼の容姿に似合わず、行動に類さないにも関わらずだ。

 私は彼を彼の傍にいていつも嗤っている。


 私が知る中で私ほど卑しい人間はいない。

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