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エノレアの魔法

 朝になり、目が覚めると昨日の夢を直ぐに思い出す。未来のエノレアを名乗る火の玉に、お母様を救えと言われた。

 大雨が降って、別荘を襲う前に療養中のお母様を別荘から離れさせる。私にしか出来ない、エノレアの為の事、絶対に成功させなくては。パジャマを着替えタンスから取り出した服に着替える。

 しかし、エノレアの魔法とはなんだろうか、魔法がエノレアの中にもあるのだろうけど、私自身は何も感じていない。セリアさんなら知っているだろうか。


「お嬢様、おはようございます。新生活二日目ですね、調子はどうでございますか?お嬢様が、助けも借りずに着替えてらっしゃる……」


 部屋に入るなりエノレアが着替えていた事に驚いてフリーズするセリアさん。仕方がない、きっと前のエノレアは着替えも人の手を借りていたのだろう。というか、そもそも子供なのだから一人で着替えを出来ないのも当たり前だ。だが、今の私はエノレアを装う女子高生。しかも、今は緊急事態なのだ。手助けを求めてる時間は勿体無い。

 セリアに近寄り、馬車の事を頼み込む。


「セリア、詳しいことは後で話すわ。お願いだからお母様のいる別荘まで一緒に来て。お母様を助けたいの」

「奥様を?いったいどうされたのですか」

「良いから馬車を用意して!」


 馬車を用意して貰い、セリアと共に乗り込む。目指すはお母様のいるコネ湖だ。


「さて、それでは何が起きたのか説明して貰えますか?」


 意外にも話に乗ってくれたセリアに馬車の中で説明を求められる。


「実はね、夢を見たの」

「夢…ですか。それはどのような?」

「お母様のいるコテージが大雨の被害でバラバラになる夢。とても怖かったの」

「夢では無いのですか?」

「夢よ、夢のはずだけど、あれはきっと本当にあったことなのだわ。お母様を助けたいの」


 セリアは少し困ったような顔をした後、窓から空を見上げ、またエノレアの顔を見る。


「申し訳ありませんが、それが予知夢では無くただの夢だった可能性はございませんか?」

「どうしてそんなことを言うの」

「私には到底信じられないのです。エノレア様のことを疑っているという訳では決してありませんが、それが実際に起きるという確証が存在しない以上、殊更に不安を煽るだけなのではないのでしょうか?」


 セリアの発言は当然のことだ。予知夢だと子供が言ってそれを信じる事など難しいのだ。だが、もしも本当に起こるのであれば止めるべきことだ。私にはあの火の玉が語った事がどうも嘘とは思えなかったから。

 きっとお母様にも、母親に会いたくなった子供の癇癪だと思われるに違いないだろう。さて、どうするか。

 


「そもそも、エノレア様にはまだ魔法が使えないじゃないですか」


 セリアが言うことに私は面を喰らった。どうやらエノレアはまだ魔法が使えないらしい。というか、魔法ってどんな魔法が使えるのか何も知らない。なんでも使えるのか、特殊能力みたいなものがあるのか思い返してみれば聞いていなかったのだ。


「そんなの私に言われてもわからないわよ!でも、これはきっと魔法かどうかじゃない、予知夢なの!」

「そもそも、エノレア様。国の気象情報によればその辺りの地域はこの先一週間は雨が降らないはずですが」

「正夢じゃなくて象徴夢かもしれないじゃない!雨じゃなくて他の水害だったら?!お母様の身に何かあってからじゃ遅いの!」


 そうだ、まだ大雨が原因とは限らない。湖の畔に化物がいてソイツが原因になるかもしれないのだ。

 というか、この世界って気象情報あるんだ。魔法と化学は紙一重というけど本当のことなんだなぁ。


 数時間後、馬車は湖に着いた。お母様のいる別荘にへと。


 さっそく別荘の中へ入りお母様を呼ぶ。

「お母様、お母様エノレアが来ました!予知夢を見たのです。お母様が亡くなられる夢です。私にはそれが現実だと思ったのです」

「あら、どうしたのエノレア。それにセリアまで」


 エノレアの声を聞き付け、一人の女性が寄ってきた。だが、記憶の消えた私にはその人がお母様かの判断が付かなかった。


「奥様、実はエノレア様が予知夢を見たらしく」


 どうやらセリアの反応からして、このスーパーモデルのように美しい女性がエノレアの母親で間違いなかったようだ。

 記憶が無いことを悟られないようにひたすらお母様に話続ける。


「お母様、お母様。エノレアは魔法を覚えたのかもしれません。私の魔法は予知夢かもしれません。お願いします。お願いしますからお母様。一緒に屋敷に帰ってきてください」


 無意識の内に涙が溢れ落ちる。きっと、これはエノレア本人の涙なのだろう。消えてしまったエノレア本人の母親への思いなのだろう。泣きながら訴えるエノレアを見て、お母様が語意を強めて従者に声をかけた後エノレアにも声をかける。


「わかったわエノレア、一緒に帰りましょう。療養はもう済んだから大丈夫。予知夢かが外れても安心してちょうだい」


 それから暫くしてエノレアとお母様達は館へと帰路に着いた。無事に全員が湖の別荘から待避したのだった。




そこから二日後の事だった。突如、湖の深くに眠る魔法石が爆発したというニュースが流れた。火の玉の予言が当たったという事を私だけが理解したのだった。

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