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ダークエルフの苦悩

ダークエルフの苦悩~ジョブチェンジはおまかせ~

※※※※※※※※※※※※


「あちらの検索用端末をお使いください」


 王宮の受付に案内されたのは利用者用の端末。手間かけてられないから自分でやれということなのだが、こちらもそのつもりで来たので特に文句はない。ダークエルフは真剣にジョブチェンジを考えていた。迷宮案内なんてやっていたら来るヤツ来るヤツパーティを組んでいて、すでにデキていることがほとんどで出会いがない。迷宮のレベルがもっと低ければ単品の男くらいいるのだがなまじっか仕事ができるのでそちらに回れず、強くて頼りになるダークエルフさん!は恋愛対象にはならないらしい、みんなもっとかわいくて守りたくなるような子が好きだからダンジョンに来るみたいなもんで、ダークエルフはこの迷宮を抜け出せない。


 元のギルドでも受付に回るという手段があるのだが、絶対ない。受付のエルフは利用客にも内部にも人気で、絶対に比較される。そもそもエルフのイメージに勝てないという理由で男がいないから、真横に行くなんて絶対ダメ。言い寄ってくるヤツがいても「エルフは無理だけど」とか思っているのだろうとこっちが思うのでドツボにはまってしまう。だから別の仕事を探して、検索端末に条件を入れて一覧を出した。


 やはり一番最初に出るのは女戦士。戦士は男性優遇だが女性でも条件次第でなれる職業だ。露出度の高いアーマーを着れば男もイチコロ、こことはまた違う異世界にはビキニアーマーを着てマシンガンで豆を撃つ弁財天というてんこ盛りな人もいるらしいのでああいう強カッコいい女性のイメージだ。しかしダークエルフは迷宮案内をしているのでダンジョンがどういう場所か知っている。寒いし風が強い。夏場に短期でというなら考えるが、それも日差し次第なので優先順位は低い。


 やっぱりダークエルフだから種族値を生かして、魔術師かなあ。攻撃呪文は得意だしMPなんてあまり気にしないからどんどん使う。だが魔術師は倍率が高く、みんななりたがるので資格があっても仕事がなかったりする。回復魔法が使える方が需要は高いが、そういうのはエルフが得意だ。得意な割には大して回復しないのに、エルフにしてもらった!と喜んだ男どもは全快と同じくらい戦う。能力があるからといって報われない好例だ。自分がやったら喧嘩になって回復どころかダメージが増える光景が頭によぎったから検索から外した。


 一応特技である「双剣」を入れてもう一回出してみた。得意と言うほど得意ではないができる人が限られるので違うのが出るかもしれない。そしたら盗賊という項目が新しく出てきた。ダークエルフはイメージだけで損してるのに、盗賊という仕事はダブルパンチでしかない。「真面目にやってるのに!」と知り合いの盗賊はいつも酒を飲んで泣いている。罠を解除するなんて一番危ない役なのに「いつもやってるだろ?」とか当たり前だと思われている。なったらきっと初日にパーティを自分で半殺しにしてしまうのでこれもやめておこう。


 司祭だったら意外性があって「美人すぎるダークエルフ司祭」とか言ってもらえるだろうか。そこまで絞り込まないと「美人すぎる」がついてこないのが不服なので考えるのをやめて、こういう場所ではないのかなあと考え始めた。宿屋や道具屋で雇ってもらおうか。長期滞在の冒険者相手にロマンスできるかもしれない。でも最近はどこに行っても「そういうお店ではありません 礼節を守ってください」と張り紙がしてある。こちらの都合も考えてくれればいいのに。職人になってドワーフたちに混じればさすがにモテる、オタサーと同じ理屈だ。でもドワーフたちは仕事になるとマジモードだからつらいに決まっている。いっそ王宮のメイドにでもなればいろんな方面からいろんな意味で視線が集まるけど、王宮とか待遇悪いに決まってるからすぐに諦めた。


 全然いいのがない!と自分が選り好みしているのを棚に上げて一度帰った。エルフに相談すると「やめちゃうの?」と泣かれそうになったがやめる段取りが組めないから相談しているのでやめない。いっそ起業して個人事業主になろうかとか冗談で言ったら、私も私も!とエルフが乗ってこようとする。従業員がいると話が一気にややこしくなって王宮と揉めるからそれはない、と止めていたら酒場で喧嘩が始まった。オレ様はぁ、ハイゴブリンだぞぉ!なんだぁ、オークロード様に向かってぇ!ゴブリンにハイがついたって見分けつかないし、オークの現場監督だからって自慢するのはかっこ悪い。本人たちは酔っているので迷惑なのに大ゲンカ、周りをだんだん巻き込んで騒ぎになり始めた。最初は傍観していたダークエルフたちだが、喧嘩していた連中が突き飛ばされて倒れ込み、二人して酒をかぶった。泣きそうなエルフをよそに立ち上がったダークエルフは八面六臂の大活躍、というか大暴れで全員を締め上げた。「狂戦士になりませんか?」と言ってきたスカウトも一緒にぶっちめた。

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