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ダークエルフの受難

ダークエルフの受難

※※※※※※※※※※※※


「なんで私がこんな扱いなのよ!」


 二次会に行かずに店を変えて、友人と飲んでいるのはダークエルフだった。今日の合コンは惨敗、男性人気は友人のエルフに集中して無骨なドワーフも計算高いゴブリンも全然寄ってこない。ルックスは大して変わらないのになぜこうなるのか、肌の色なんてドワーフが毛むくじゃらでゴブリンが緑色なんだから大した問題ではない!そんな主張を友人ノエルフは梅酒片手に聞いていた。エルフはエルフど真ん中なので頭がいいのにほわほわして空気が読めず、ホントだねー、おかしいよねー、大変だよねーと全然わかっていない。なまじっかいい子なので当たることもできず、ダークエルフは自己分析を始めた。


 ダークエルフというのは不思議な呼称で、エルフはエルフなのにダークエルフはダークエルフと呼ばれる。「当たり前だろう!」と言われそうだが、ダークエルフからしたらエルフがホワイトエルフとかライトエルフとか呼ばれていないことが不思議で仕方がない。確かにダークエルフには闇堕ちする者が多いのだが、普段から扱いが悪いのでストレスがたまりやすく主張自体は真っ当だ。むしろ優遇されているのに闇堕ちするエルフの方がよほど始末が悪く、爆弾とか作ってるんじゃないかと思って盗賊に調べさせたらたまに出てくる。盗賊なので解体してから報告するのだが、レベルが低いと爆発させるのでたまに火柱が上がる。


 なんでだろう、肌が白いのがそんなにいいのだろうか。しかし世の中には「褐色の肌がたまらない」という層が一定数いるのでモテないということはないはずなのだ。こっちはおしとやかにしたり逆に挑発的になったり、ギャップをつけたり意外性を見せたり工夫しているのに全然食いつかない。なんでよ!と叫んでも友人のエルフは「ダークエルフちゃんはかわいいのに、モテないなんて変だよね-」とマジで言っている。わざと言っているのだろうかと思わないでもないが、このキノコおいしい!と言って海藻を食べているのでたぶん本気だろう。昔から知っているので確信的にわかる。


 両親からはよくお見合いの写真が送られてきて、どういうわけだか治安の悪い国の人が多い。ダークエルフだから折れてくれるだろうみたいな心中が、一つ一つではわからなくてもたくさん来るので丸わかり、最近は少し目を通したらゴミ箱に捨てている。エルフにはもっといい国からお見合いの話があるのかと思えば、受け取ったことがないらしい。「エルフさんはいくらでもモテるからさすがに無理だろう」という意思が、縁談がないという一時からにじみ出る。私がダークだからなんだって言うんだ!肌を白くしたら相手にするのか!とくだを巻くとエルフが泣き出した。ダークエルフちゃんはそのままが一番いいから、そんなことしちゃダメ!なまじっかいい子なので根本的に負けた気分になり、ヘコんだ。そろそろ店を出ようとして立ち上がると、エルフが他の客とぶつかった。人間だ、いい男の。


「大丈夫ですか?」

「えー、私ドジなんで、ごめんなさい」


「僕こそ……ああ、服に汚れが!すみません」

「えーと、これ前からあったかも。覚えてないけど」


「クリーニング代は僕が」

「いいですよ-、わあ、模様みたい」

「せめてここは払わせてください……」


 ダークエルフはレジで万札を叩きつけてエルフを引っ張って店を出た。どうやらエルフにはダークエルフにはない「天然」という要素がある。どう考えたって利点ではないはずなのに男はここに食いついている。なんでそんなのがいいのよ!とダークエルフが次の酒場で叫ぶのをエルフはジンジャーハイ片手に二時間聞いていた。店を出たとき、背後に忍び寄ったオークが背中をさすってくれたので吐くとき少し楽だった。優しい人だな……。

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