幕間 『コード・ライダーの世界』 ギルド 闘神 チャンネルPROMETHEX デジタル・アーカイブ・グラフィックスより
本作は『電界駆動 ブレード ― データの少女は仮想世界で夢を見るか?』を一部固有名詞の変更と話数の並びを変更、改訂を行なったものです。
少しでも読みやすくなってれば幸いです。
ギルド「闘神」――。
その名を正確に記録した公的データは、ほとんど残されていない。
結成時期は不明。
ブラックアウト以降に現れたことは確かだが、いつ、誰が、どのような経緯で成立させたのかを断定できる資料は存在しない。
ただし、ひとつだけはっきりしている事実がある。
闘神は、インター・ヴァーチュア各地に点在するスポットに、まるで旅団のように出没しては、圧倒的な戦闘力をもって猛威を振るった。
紛争介入の傭兵仕事。
軍用規格シミュレーターによる模擬戦。
非公式レース、そして名のある大会。
闘神は、どの舞台においても勝ち続けた。
ギルドとしての規模に関しても曖昧だ。
装備や活動からは、かなりの規模を持つようにも見えるが、行動は少数精鋭――。
時には個人での戦果で全容を掴むことが困難だったと語られる。
各地のスポットに残されたログには、
「闘神が出た」
「今日は闘神が来ているらしい」
といった断片的な言及が散見される。
目的を果たせば、去っていく。
気がつけば、威力の痕跡だけを残して去る。
スポットという離合集散を前提とした場所の性質と、闘神の在り方は奇妙なほど噛み合っていた。
拠点についても諸説ある。
だが一説には、メサイア支配地区に存在するコミニティ、Highway OverDrive Outpost―― 通称、HODO。
ここが闘神の事実上の根城だったと語られている。
HODOは企業都市国家、メサイア・パシフィックゲートに寄生するように隣接した場所だ。
にもかかわらず、独立性は極めて強く、企業の影響も受けず、ギルド、アウトロー、コード・ライダーたちが自然発生的に集う場所だ。
闘神がそこを拠点としていたとしても、不思議ではない。
そして―― 闘神を語るうえで、必ず名前が挙がる存在がいる。
殲滅明王。
蹂躙天帝。
この二つの呼び名は、特定の個人を指す称号だと考えられている。
そう呼称されるコード・ライダーが実在したのか、複数のライダーの戦果が混同された結果なのかは今となっては、定かではない。
共通して語られるのは、その異常な戦闘能力だ。
一戦で戦況を覆した。
一人でフィールドを制圧した。
いずれも真偽不明の噂に過ぎない。
だが、これらの逸話がすべて闘神の名と結びついている事実は重い。
闘神は、ただの武闘派ギルドではない。
そう認識されるようになった理由のひとつが、この二つの影だった。
やがて、闘神は忽然と姿を消す。
解散したのか。
壊滅したのか。
あるいは、形を変えて今もどこかに存在しているのか。
答えはない。
闘神は、スポットに現れ、スポットから消えた。
そして今も、コード・ライダーたちの間では、
語られるべき「都市伝説」のひとつとして生き続けている。
――
『コード・ライダーの世界』 ギルド 闘神 チャンネルPROMETHEX デジタル・アーカイブ・グラフィックスより
読んでいただき、ありがとうございました。




