幕間 『デジタルにおける生命の定義ーDiscretized Quantum Lifeformsの可能性』 オズの四層定義より抜粋
本作は『電界駆動 ブレード ― データの少女は仮想世界で夢を見るか?』を一部固有名詞の変更と話数の並びを変更、改訂を行なったものです。
少しでも読みやすくなってれば幸いです。
かのグレード・オズこと、グレートオズニアックはインター・ヴァーチュアへの意識投影技術を完成させるにあたり、デジタル化されるべき意識とは四層であると定義した。
オズニアックは自由奔放な発想と、時に突飛な言動で知られる。
特にインター・ヴァーチュアを発見し、その技術を発明して以降は、抽象的で哲学的な発言が目立った。
意識投影技術はオープン・ソースとして制限なく公開されていたが、この四層定義を示すような処理が存在していないということは周知の事実だ。
しかし、その事実があってなお、発明者のオズニアックは意識の四層構造の理解こそが仮想現実へ立ち入ることを可能したと発言している。
では仮想現実の父が語る、意識の四層とは何か?
オズニアックよれば、人の意識は以下の四層で構成されるとされている。
•才能
•個性
•記憶
•魂
この層はオズニアックによれば、表層から深層へと積み重なるが、各層の沈殿には条件があり、人のみが、四層を獲得できるとしている。
オズニアックは四層の鍵はワイルドであることだと語っている。
彼の考えでは、AIやプログラムはパーソナルまでは獲得できるが、ソウルを持ち得ないからだ。
なぜなら、AIは記憶や経験を蓄積して自己を形成できるが、存在の本質、つまり魂を宿すことはないからだ。
表層からの三層は性能でありこれは作りだすことが可能な領域であり、第四層となる魂は深く深層にあらかじめ用意された不可侵ならざる領域であり、この存在が生物と非生物を隔ている壁であり、知性や、経験、技術を受け止め、自らを自己拡張し進化せしめる器。
後天的には四層目は獲得できず、四層を持っている存在のみが三層を包含し、魂を形造るのだという。
この説をビリー・オズニアックが提唱した際、|カリフォルニア工科大学の量子力学の第一人者であり現PMA(Physics, Mathematics and Astronomy)部門長であるイアライアス・ダナー教授は冗談混じりにこう質問した。
「で、あるならばだ。 君が発見し、人の魂とやらを投影するデジタル世界にも先天的な第四層を持つ存在が産まれるのかね?」
この問いに、オズニアックは「Yes」と即答した。
「むしろ、すでに発生している可能性すらある。 教授、きっかけと、エネルギーと時間です」
投影されたディスプレイににオズニアックはそう語りならが、以下を書いた。
・「きっかけ(trigger)」=初期条件、非平衡状態への外乱
・「エネルギー(energy)」=外部からの自由エネルギー供給源
・「時間(time)」=非線形過程の進行
「秩序はエネルギーの流れの中に生まれる。 宇宙は熱的死ではなく、自己組織化の源泉である」
また、オズニアックはそう高明な物理学者の言葉を引用した。
そして言葉を続けた。
「インター・ヴァーチュアもまた我々の世界と同じく、すでに観測され時間は動いている。 すなわち、デジタル粒子化された情報が、観測という手段で、自然発生した量子的情報遺伝子体となる―― すなわち魂の器を獲得するということは十分あり得ます」
これが、オズニアックが魂の四層構造に則り、観測されたデジタル世界において生命の発生の可能性を提示した最初の瞬間であったとされている。
このオズニアックの言葉は後に仮想現実、デジタル世界であるインター・ヴァーチュアの研究の中で、デジタル生命体の基礎概念とされた。
すなわち、非連続性の情報の粒子が、自己観測によって存在を確定することでデジタルな生命の発生は可能という理論だ。
この理論で発生するとされる生命体に便宜上つかられた名称が、離散量生命体(Discrete Quantized Lifeform / DQL)である。
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『デジタルにおける生命の定義ーDiscretized Quantum Lifeformsの可能性』 オズの四層定義より抜粋
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