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観測者  作者: しゅう


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9/10

観測者:明治大正昭和編1

前世の話となります。

明治8年

青森県八戸市に私は生まれた。

8人兄弟で生活は苦しのかと思われたのだが、父は政府の役人だったらしく、贅沢とは言わないがそこそこの生活水準だったと思う。


兄弟の中で私は少し変わっていたようで、父は私が2歳になった頃に、お寺に預けてしまった。

手に余るような子だったのだろうか?

特別な子だったと思う事にしよう。

5歳になった頃にはすっかり寺小僧になっていた。


9歳になった頃に、とある人物と出会った。

どこからかどう見ても仙人!?

ほいど!?

(乞食、物乞い、貧しくて物をもらって生活する人)

住職らは、丁寧に応対している。

ほいどではないようだ。

もしかして、本当の仙人!?

住職らは、彼に私を会わせ紹介した。

彼は、ちょくちょく寺を訪れ私に話しかけるようになった。

私は彼に惹かれ、いつしか『師匠』と呼ぶようになった。

師匠と会わなくなるまで、師匠の名前を聞くことはなかった。

師匠も自らの名前を私に伝えることもなかった。


住職らは、私に師匠の側で学ぶことを勧めた。

私は何となく学ぶことにした。

毎日お寺にいるのも飽きてしまいますからね。

師匠に付き添い始め、師匠は凄い人だと感じ始めた。

特に印象的だったのが、長老会の集まりに参加したとき、長老の誰もが師匠の話を真剣に聴き、まるで教えを請う弟子のように見えた。

難しい話はよくわからないが「覚えておけば何かに役立つだろう。」と師匠に言われて、師匠の話を覚えるように努力した。


しばらくすると、師匠は私を森に連れて行きはじめた。

身近な森から始まり、だんだん森の奥深く入り込むようになった。

師匠といると、森の草木が輝いているように感じられる。

街の中とは違い神聖な感じかな!?

不便なことは、水や食べ物を自らの手で探し出さなければならないことかな。

二三日食料を確保できず、空腹のまま森の中を散策する時もあったが「二三日食べなくても死ぬことはない。」と、こんな時の師匠はニコニコしながら語ってくれるが、私はお腹が空いて疲労困憊であった。


師匠との森での生活のおかげで、私は一人でも森の中で生活できるようになってきた。

師匠は頃合いと思ったのか、とうとう山の中に歩みをすすめ始めた。

森の頃は私にあわせて歩いていたようで、山に入ると師匠の足取りはとても軽く速くなり、私は全力でついて行くのが精一杯。

崖や谷や山を渡り歩く。

『人知を超えた、本当の仙人じゃないか!』

私は本当にそう思ってしまった。


師匠との修行?のような日々も父により終わりを告げることとなる。

学校で勉強しろと言うことです。

師匠から勉強と呼べるような事は、よく行なっていたから『今更学校に行かなくても良いんじゃないかな。』と考えていたのだが、師匠から『学校に通い学ぶ事がこれからの私のためになる。』と言いくるめられ渋々通うことにした。

学校では、そこそこの成績だったと思う。

友達がいたのか少なかったのかよくわからない。

お坊ちゃまと思われて、遠巻きに見られていたのかもしれない。

尋常中学校あたりまで通ったのかもしれない。


今回は、10代頃の話となります。

文章にするって大変ですね。

つたない文書ですが、読んでいただきありがとうございます。

20代頃のお話も少しずつ書き始めています。

ちなみに『月待ちの灯』は、ここの夢から誕生しました。

読んでいただけると嬉しいです。

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