観測者:縄文編1
縄文時代から弥生時代への移り変わりの頃の夢を見ました。
今からおよそ2千8百年前。
私は九州南部日向国に女性として生を受けた。
いわゆる縄文人であった。
縄文人たちは、かつてムー王国時代に私と生活を共にした子らの子孫のように感じられた。
それは、私と共に生活していた時のようにお互いに共感しあうことが日常的に行われていたからだ。
時代はすっかり変わっているが、その時代や地域に合うように工夫がなされ、日々の幸せを感じていた。
上位の意識体とも繋がることが可能な者も存在し、巫女やシャーマン的な存在として大切にされていた。
私は小さい頃から大切に育てられていたようだ。
巫女的な力を持つ者として育てられたと思う。
この集落の者たちの育て方が良かったのか、もともとの才能があったのかは分からないが、私は少しではあるが上位の意識体とも繋がることができるようになった。
ムー王国から何度も生まれ変わって来たが、日々充実した生活と幸せを感じられる日々。
生を満喫してとても楽しかった。
とある秋の日、稲作の豊かな収穫が終わり、神々と呼ばれる者たちへの感謝と捧げ物を終えた日であった。
侵略者、略奪者と思われる者たちが、突如として私達の集落を襲ってきた。
私達は武器を持たない。そもそも争うことを知らない民である。
農機具等で抵抗を試みたが、侵略者に対抗できるわけがない。侵略の速度はあまりにも速かった。
私は皆に守られながら、どうにか北へと逃れる事が出来た。
北の集落に避難をしようとしたが、そこもすでに侵略されていた。
私達は、侵略者たちを避けてさらに海を渡り、新たな土地への逃避を強いられた。
しかし、逃げ込んだこの土地も侵略者たちと思われる姿をした者ばかりであった。
私達は身を隠しながら、彼らのいない土地を求めてさまよった。
道中、他の同族の者たちと合流しながら、さらに東の地を目指した。
東の地には、同族の大きな集落があると合流した者たちから聞いたからである。
さらに、私や私のような巫女的な者たちも、東への歩みを進めるようにお告げを得たためでもあった。
現在の南アルプスの辺りまで逃げてきたが、ついに侵略者であり略奪者でもある者たちに追いつかれてしまった。
抵抗したが、武力の充実した彼らには太刀打ちできず、ほとんどの同族は殺されてしまった。
彼らは、巫女的な力を持つと目された私達を捕らえた。
捕虜として彼らに連れていかれ、その都のある地へと連れて行かれた。
彼らの都は、現在の京都の辺りに位置していた。
都まで連れて行かれ、私達が繋がることのできる上位の意識体との意思疎通を強要されたが、その意識体は彼らの望む神々ではなかったようだ。
私達は、今で言う『異教徒』として、無残にも処刑されてしまう。
弥生時代の始まりの頃。この地は悪意が充満しているのだろうか?
愛おしい我が子らの子孫は、どうか無事に生を送っているだろうか。
526回目の生を終えた。
お読みいただき、ありがとうございます。
今回も1,000字ほどの短編となりました。
まだ「生き生きとした文章」には遠いかもしれませんが、この物語の記憶を形にしていきたいと思っています。
少しずつ書き進めてまいりますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。




