観測者:シュメール編1
読んでいただきありがとうございます。
今回の話は短編となります。
9千7百年前
初めて地球人と宇宙人とのハーフとして、肉体を持った生を受けることができた。
四百一回目の転生は、地球人としてこれから生きる期待に胸を膨らませていた。
この頃の管理者は、地球で生を受ける者に対して面白い仕組みを加えることにしたようだ。
『地球上で転生する時には前世の記憶を思い出せないようにする!
もちろん他の異星人が地球人に転生したとしても、例外なく前世を思い出せない!』
ここの宇宙の管理者による実験でもある。
成功したら他の星域でも実行するのだろうか?
この取り組みにより、他の星からの転生を望むものが少なくなり、地球人としての新たな進化が始まるのだろう。
私は新たな未知の旅ができると期待して生を受けたが、管理者による実験体だったようで、色々と大変な目にあうことになった。
排泄の仕方がわからない。
口から物を入れないと生きていけない。
物を口に入れても、食べられるものと食べられないものがある。
そこら辺にある土や石などは食べられない。
草木は食べられるが、歯を使って噛まないと飲み込むことができない。
未知の体験。
肉体を持つって苦しいが、楽しい。
なんとか生き延びていたが、ある日、他の星から来た異星人に捕まってしまった。
何を言っているのか、何を伝えたいのか、まるで理解できない。
これまでのような意思疎通は、肉体によって完全に封じられていた。
連れて行かれた先には、大勢の人がいた。
よく見てみると、地球人として生を受けた者以外の異星人も混じっている。
地球人は確かに声を発することはできるが、まだ言葉がなく、声による会話すら成り立たない。
異星人達は、言葉を発せなくても理解し合えるようだが、私は封印されているようで理解し合うことすらできない。
これから私はどうなるのだろうか?
集められた者達は、異星人の指示により何かをさせられるようだ。
山が砕かれ、岩が砕かれ、土のようにして集められている。
その土の中から何かを取り出しているらしい。
私は土を集めるように指示された。
ここにも悪意が存在しているのだろうか?
まるで私は奴隷のようだ。
食べ物や飲み物をほとんど与えられず、身体に力が入らない。
どんどん意識が薄れていく。
地球人となったが、肉体での死をこんなにも早く体験することになるとは、興味深い。
短い生であった
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しずつ書き進んでいきますので、これからもよろしくお願いします。




