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ただし、みんな不細工〜乙女ゲームヒロインに転生した俺は攻略対象達に口説かれてます。

作者: ブー横丁

初投稿です!


 ここはローズランド王国。


 由緒正しき王立魔法学校『ローズランド•ガーデン』。

 

 その今年度の卒業式にて、金髪の王子が婚約者の銀髪の公爵令嬢に婚約破棄を言い渡していた。


「シルバニア•アーク公爵令嬢!わたしは貴様との婚約を破棄し、このピンク•アータマ男爵令嬢と婚約する!」


•••••



 前世酔っ払って、階段から落ちて死んだ俺(32歳サラリーマン)。


 そして、目が覚めたら通勤中暇つぶしにやっていた乙女ゲーム、【ローズランド•ガーデン】の世界に転生していた。


 乙女ゲーとか興味なかったけど、同じゲーム会社で制作してるRPGのガチャのポイントが貯まるからやっていたのだ。


 そして俺が転生したのはよりによって、癒しの力を発現し、庶民だったが男爵家に引き取られたヒロイン『ピンク•アータマ』だった。


••••••••


 ピンクは15歳の春から王立魔法学校に入学予定だ。


 攻略対象は4人で


『第一王子、ゴールド•オージス•ローズランド』

『宰相令息、グリーン•グラース』

『騎士団長令息、レッド•マッスル』

『公爵令息、パープル•アーク』

である。


 そして、ライバルの悪役令嬢がゴールドの婚約者でパープルの妹の『公爵令嬢シルバニア•アーク』である。


 各攻略対象のトゥルーエンドと、全員を攻略するハーレムエンドがありシルバニアはどのルートでも邪魔してくる。


 特にゴールドルートの時はとても面倒だが、婚約者を取られそうだから必死だったんだろう。


••••••••


 転生したのは入学式の前日だった。


 とりあえずゲームでヒロインが出来た癒しの魔法を指の逆剥けに使って、


「おおおお、すげえー!」

と言っているうちに終わってしまった。


 俺はヒロインになったようだがゲームを攻略する気はさらさらない。


 中身は男だし、男にチヤホヤされる趣味なんてない。ヒロインに転生しても何も楽しいことなどない。


 オッパイも小さいし、顔も可愛いけど、俺の好みじゃない。髪がピンクなのも好きじゃないし。


 引き取ってくれた男爵は感じ悪かった。一日しか会ってないから知らんけど。


 なんでこのゲームの男達はこんな女に夢中になったんだろうか。


 転生者は普通は色んなことを回避したり内政チートしたりするんだろうけど、悪役令嬢じゃなくてヒロインだから別に死ぬことはないだろう。


 普通にほどほどに休めて、ほどほどに酒を飲めて、ほどほどに働いて生きていけたら十分だ。


 なので、いらない恋愛フラグだけ折って、しばらく何もせず様子見する予定だ。

 

 そして、この世界の給料高くて、安定していて楽な仕事を調べて就職しよう。


 そう思ってた時期がボクにもありました。


•••••••


 入学式。


 本来ならここでヒロインのピンクが何もないところでコケる。


 で、騎士団長息子の脳筋系イケメン、マッスル侯爵令息に助けられるイベントが起きる。


 膝を擦りむいたヒロインは、みんなの前でお姫様抱っこされて保健室に連れて行かれるのだ。


 

 けれど、そんなことで目立つのは絶対に嫌だ。汗臭そうな男に抱き抱えられるのも遠慮願いたい。


 だから攻略対象っぽい集団を見つけて距離をとろうとキョロキョロしていた。


(いた!)


名前の通りの髪色のカラフルな集団が見えた。


 ちなみに他のモブは黒か茶色の普通の髪色だ。


(しまった!俺も昨日髪黒染めしてくればよかった。そしたら変に目立つことないのに。なんで気づかなかった俺。)


周りの生徒が

『ほら!あの癒しの力を発現した例の元平民の、、』

とかヒソヒソ言ってる。


 この髪、目印になっちゃってるよ。


 高校の時の担任に髪の毛茶色に染めて怒られたけどもはや俺今ピンク髪だよ。。先生、なんだか本当すみません。


 そんなことを思いながら攻略対象を見つめていたら、やつらが振り返った。


(ん?)

顔を見て思わず息を呑んだ。


 皆ゲームではイケメンっぽく描かれていたし、麗しいとか言われていた。


 だがしかし。


 実写化した世界ではそんなものじゃない。


 …攻略対象皆、申し訳ないけど個性的な顔立ちというか。直球で言ってしまうと。


 色んなタイプのブサイクだった。


 なんで?!!!


••••


 もし転んでしまったらイベントが始まってしまう。


 イベント相手である騎士団長息子、レッドくん15歳に注目する。


 ゲーム内では赤髪ゴツマッチョなイケメンキャラだ。


 実際は髪は赤くて確かにデカいが、主に筋肉ではなく脂肪が付いている。満員電車で隣にいたらヌルッとしたのが染み込みそうな太さだ。


 顔は、思春期特有のニキビが数十個。前世、親友のケンジが腕の良い皮膚科医になったので連れて行ってあげたい。


 性格は、話せばいい奴かもしれないがまだ話したことないし、普通に友達でもないコイツに担がれたくない。


(逃げよう。)

そう思って焦ったのが悪かったのだろう。

 

 ドテン!!


 テンプレ通りコケてしまった。。




ーーー数分後。



「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

さっきからメチャクチャ生臭い息がかかりまくっている。


 恐らく空腹なんだろう。ちょっと息が匂う。太っているからか体臭もすっぱい。


 少し擦りむいたが癒しの力で治せるから大丈夫ですって断ったのに俺はこうしてレッドくんに担がれている。


 ゲームの強制力半端ない。



 ドサ!!!!



 保健室のベッドにおろされる。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」


…なんかめっちゃ貞操の危機を感じるんですけど。


 

 でもレッドくん(太っている)はニコッて微笑んで


「お前みたいな可愛い子に見つめられるのは大歓迎。ゆっくり休めよ。」

と言って去っていった。


(え、、見てたけど見つめてたのと違うんだけど。。)

何かすげえモヤッとする。



 お前、騎士団長の息子なのになんでそんなに太ってるんだよ!痩せるまでちゃんと走れよ!


•••••••


 次の日、とりあえずこの世界について調べるために図書館に行った。


 イベントが起きて欲しくないので第二図書館に行ったのだ。


(お?『ローズランド王国の歴史と慣習』か。ひとまずこれ読んでみようかな。…ううっ。と、届かない)


本がある位置が思ったより高く、台に乗ったまま背伸びしているとさっと横から本を取って渡してくれた人がいた。


「あ、ありがとうございま、、、」

「フン。あまりにもチビで見ていられなかっただけだ。」

顔を上げると今度はグリーン•グラース宰相令息がいた。


 なんでいるんだよ。。


 ゲーム内では宰相の息子で緑の髪で、メガネをかけたインテリ毒舌ドSイケメン。


 実際は、長い緑の髪が引き伸ばした陰毛のような。メガネをかけたアメンボみたいな感じの男だ。

 

 せめて、髪、切ったらいいのに。


 …でも、性格は本を取ってくれたからいいやつなのかも。


「はあ。本を取ってくれてありがとうございます…」


普通に笑顔で礼を言うと、


「な!?なんだこの感情は?!!!貴様、その顔、私以外に見せるなよ!」

と叫んだ。


 え、チョロすぎない?




•••••••


 次の日は学園は休みだった。


 寮から出て、癒しの力の特権、聖魔法(笑)で姿を消してこっそり賭博場に行った。


 色々あって、ムシャクシャしたからだ。


 そして、誰も通っていないのを確認して、建物の陰でローブをかぶって入店した。


 へっへっへ。


 これで顔は見えないし、まさかこんな若い女の子が賭博に来てるとは誰も思うまい!


 店員からコインを10枚だけ買う。


 日本円で1000円くらいかな。何せ貧乏だからね!

 

 この一週間、ランチは食堂の素パスタに無料でかけられる粉チーズとバジルだけで頑張って、お金を捻出したのだ。


 とりあえず前世でもたまにやってたスロットの前に座る。


 お?お?お?


 キタキタキタキタきたああああアアア!!!!


 聖魔法の動体視力を上げる魔法を使って、揃える、揃える、揃える!!


 なんでもアリだなヒロイン!


 すごいぜヒロイン!!


 なんと15分くらいで一気にコインは200枚になった。そして1時間で結局コインは1000枚になった。


(ちょっろ!ヤバい異世界サイコー!これ人生勝ったわ。)

流石に怪しまれるだろうといつもなら気づくのだが、俺は気分が高揚し過ぎてそのままコインを換金してしまった。


 店員に


「お客様。少しよろしいでしょうか。こちらの部屋でお待ち下さい。」


と通された部屋にいたのは。


 ニッコリ笑った公爵家嫡男のパープル•アークだった。


「お姉さん、困るんだよね。僕の家の賭博場で不正にいっぱい稼がれちゃうとさ。」


ゲーム内では筆頭公爵の息子で紫の髪で、可愛系イケメン。悪役令嬢シルバニア•アークの兄でもある。


 実際はいっぱい食べそうで鼻水の出てそうな紫色のイガグリ頭の少年だった。

 

 ソーダ味の棒アイスのパッケージに描かれていそうな感じである。



 ある意味、これはこれで可愛いかもしれない。


「別に不正はしてないですよ?」

もうこれで通すしかない。ある意味実力だし。


「本当に?じゃあここにある台でもう一回やってみてよ。」

しょうがないから癒しの魔力を使ってもう一回動体視力を上げて、スロットを止める。


 すると、パープルもといガリガリくんは、ビックリした顔で固まったあと、吹き出した。


「ふ、、、、ふふふふ。あはははは!お姉さんまさかこんなことに聖なる魔法を使ってたなんて!!!


本当に面白いね?じゃあさ。荒稼ぎしたことはゆるしてあげるから、その代わり、僕の遊び相手になってよ。」


(遊び相手ってなんだ?ヤラシイことだったらお断りだぞ。)


しかし、話をよくよく聞くと、本当にただ女の子と一緒に街に遊びに行ってみたかったらしい。


「僕さ、見た目がこんなだから、コンプレックスでいっぱいなわけ。妹もいるんだけど、何故か全然似てなくて。


 一緒に歩くのも恥ずかしいって言われちゃって。


 でも、本当は可愛い女の子とどこかに行ってみたかったんだ…。弱みを握って一緒に行ってもらうのは申し訳ないけど。でもその代わり!絶対楽しいデートにするからさ。」


(ふーん。悪い奴じゃなさそう。)


「別に嫌じゃないですよ。じゃあ、美味しいもの奢ってくださいね。」


こうして、俺達は月に2回デートするようになった。


 コイツは他のやつと違って俺と距離を無理やり詰めてくるような事もないし本当にいい奴だった。


 いつも、俺が酒を飲みたがってるのを見て、ノンアルコールカクテルが飲めるカフェに連れてってくれたり、一緒にビリヤードしたりした。


 まあ、俺は心が男だから好きになることはないけれど。


 なんだか前世ケンジと色んなところに飲みに行ったり、フットサルして遊んだことを思い出してしんみりしてしまった。


 そしたら、元気がないのを察して蛍が沢山いる公園に連れてってくれたり、パープルの家の近くの澄んだ川に魚釣りに連れていってくれたりした。


 お礼に後日、下手なりに作った弁当を持ってってやったら感動されてしまった。


 なんだよ、こいつ。

 可愛いじゃん。ガリガリ君だけど。



••••••


 入学して3ヶ月。


 魔の森の実習でなぜか中ボス以上のモンスターが出てきた。


 前世のゲーム知識で、まだレベルが足りないのはわかっているが、さすがに他の生徒(15歳)を犠牲にして逃げるのも人として中身32歳オッサンとしてはできるはずもなく。


 他のやつを逃して聖魔法で必死に戦った。


 ちょっとヤバいかなって思ったとき、運良く先生を呼びにいった生徒が戻ってきて、倒してもらえたんだけどさ。


 ドサクサに紛れて、話したこともないのにゴールド王太子に何故か抱きしめられて、


「心配させるな。、、、ばか。アホ。•••平民どもすら庇う高潔なお前に惹かれてしまった。好きだ。」

と、耳元で言われた。


 王家ってさ。昔のヨーロッパと同じで近親婚繰り返し過ぎて血が濃くなりすぎなんだよね。カールなんちゃらみたいにさ。


 だからどんどんどんどんアゴが長くなってる。


 もう、顎で何か突き刺せるレベルだ。


 乙女ゲームでは正統派の完全無欠の美形に描かれてたが。

 

 こんな時に告るなよ。


 俺、今めっちゃ戦ってなんなら瀕死なんですけど。


 とりあえず、目上のひとにハッキリ不敬なことも言えず。


「あ、、えっと、、ありがとうございます。(棒)…ぐはっ(血を少し吐いた)」

と答えておいた。


 色んな意味でぐったりだ。




••••••



 それからずっと、登校したら4人が俺の周りにいる。


 パープルは友達だけど、あとの3人なんなの?本当に勘弁してほしい。


 そのあとも強制力が働きまくったのか俺の意思は関係なく順調に攻略が進んでいってしまった。


 それと、別にゲームと違って誰も俺を虐めてこない。なんなら、


「…大丈夫?無理してない?あんな不細工達につきまとわれるなんて私には無理!1人で引き受けてくれて、本当にありがとう!」


とたまに駆け寄ってくる女のクラスメイトすらいる。


 ただ、攻略対象達が俺の周りをガッチリ固めてしまっているため近寄りづらいようで、友達が出来ない。


 というかさ。いや、人のこと言えんけどさ。


 いくらアイツらが不細工だからってお前ら失礼だよ!


 話してて気づいたけどブサイクだけどそこそこいい奴らだよ?


 特にパープルは俺のマブダチだからな!他の奴らはちょっと言動がキモいけど!


 なのに、会うなり、


「ブサイクに囲まれて大丈夫?」

は無いんじゃないか。


 まあ、王子は婚約者いるのに俺に付き纏ってるのはまずいかもしれんけど!


 そして、一年間ついに悪役令嬢は特に何も言ってこないし、ゴールドに近づいても来なかったので、会うこともなかった。


 そして2個上の学年の卒業記念パーティーであんなことが起きてしまった。



••••••••


 そして冒頭に戻る。


(えー、、俺、コイツと婚約したくねー!)


なんで自分が好きって勝手に言ってつきまとっただけで婚約することになってんの?


 しかもパイセン達の感動の卒業式で何やってんの?バカじゃねえの?


 こうなりゃもうどうでもいい!



(どうしてもコイツに嫌われたいから、うんこ出てもいいから特大の屁でもぶっ放してやる!)

と力んでいると。


「理由をお聞かせ願えますか?」

と凛とした声が響いた。


 声の主はシルバニア•アーク。悪役令嬢と呼ばれているキャラである。


(ん?!やっと悪役令嬢やっと出てきた!?

 てか、すんごいかわいい!ゴールドのやつ、こんな可愛い子が婚約者なのに俺に付き纏ってんの?!


 不細工な上に調子こいててまじムカつくな!


 この人と特に接触とかしてないけど、逆に俺に虐められてるとか言い出したらどうしよう…)



「お前、、お前を含め女子みんななぁ!私達は仮にも将来国を背負って立つ人間だ!


 それなのに挨拶しても無視をする!くじ引きで私達のうち誰かと魔法訓練でペアになりそうになったら、女子同士で固まって、やだー!!!きも〜い!と泣き叫ぶ!


 失礼だと思わないのか!もうそんな者と婚約なんて無理なんだよ!!!」



 え。


 そんなことになってたの?



「この天使のようなピンク•アータマはな!私達にも微笑んでくれる!普通に接してくれる!なんなら楽しそうに鬼ごっこだってしてくれるんだ!

 それだけでどんなに救われたことか!」


なんか、鼻水出そう。俺、どんな反応すればいいんだろ。


「そ、そんなことしておりませんわ。」

明らかに悪役令嬢は狼狽えている。


「知ってるんだぞ、シルバニア!

 貴様、イケメンばかりの歌劇男優5人グループの【イケ☆ファイブ】に入れ上げて、舞台遠征で色んな領地に行き、公爵家の財産を使い込んでいることは!

 王妃になったら男娼として奴らを囲うつもりだったのもな!」


「うるさいですわ!それにお小遣いの範囲ですわ!ブサイクと結婚するのがわかってるんだから少しくらいイケメンに夢見たっていいではないですか!!!」


2人がギャーギャー言い合っている。


(というか、すぐ気付かなかったけどパープルの妹か。可愛いけど、パープルに一緒に歩きたくないって言ったのはムカつくな。)


その時。


「静粛に!!」


と学園長が叫んだ。


「卒業式のめでたい場で、このような事が起きるのは甚だ遺憾である!」


(そうそう!もっと言ってくれ!)


「ワシは、ワシは、、」




(ん?なんか様子が変だぞ?)




「将来を担うお前達学園の生徒が!内部から崩れる!



 この時を待っデオッダノダダアァア!!!!!!」




グギャオオオオオオオオオオオオオ!!!!!



 雄叫びをあげて、学園長の身体が膨れ上がる。


 みるみるうちにデカくなり、魔王の眷属、アンデットドラゴンとなった。



 会場が騒然となったので、俺は叫ぶ。



「皆逃げてください!護衛勤務してる騎士団の方!ご存知かもしれませんが、アンデットには聖魔法しか効きません。私が戦うので、早く皆さんを逃してください!」


すると、マッスル騎士団長が叫ぶ。


「わかった!しかし、貴殿は聖魔法を使えるとはいえ、まだ年若い女子だ!私と前衛の10人は死を覚悟の上守らせて貰う!」


息子はデブだが、パパは男前だ!


 攻略対象4人も、皆逃げた中、俺と一緒に頑張って戦おうと残ってくれている。


 皆が時間を稼いでくれている間、俺は一か八かで最近やっとコツを掴みかけている高位魔法を繰り出す。


(この一年の成果、見せてやる!!!大怪我する奴が出る前に、一撃で決める!!!)



ーーーーバニッシュ!!!



 俺の全ての魔力をのせた聖なる光がパーティー会場を包み込む!



「ギャァあああぁあアアアア!!!!」


なんとか、致命傷を与えられたようだ。



「よ、か、た、、、」


魔力が枯渇した俺はその場で意識を失ったのだった。


••••••••


 三日後、王宮の貴賓室で目を覚ました俺は、キラキラしいイケメン達に囲まれていた。


 誰だ、こいつら。


「ピンク!!良かった!目を覚ましたのか!」

金髪のイケメンが俺の手を握る。


「あのあと、貴方は皆を守った英雄として、王宮に匿われたのです。」

緑の髪のイケメンメガネが教えてくれる。


「本当に良かったな。ほら、肉食うか?」

赤髪のマッチョイケメンがビーフジャーキーをくれる。


「もっと元気になったら賭博場で一緒にスロットでもしようよ。」

紫髪の可愛い系イケメンがフッと笑う。



「え?は?誰、、」


「「「「君の聖なる光を浴びて、呪いが解けたんだ!!!!お前が好きだ!付き合ってくれ!」」」」



(はぁーーーーーー?!いや、無理無理無理!俺、心は男だし!)





••••••••


 偉いことになった。


 どうしよう。俺は今や国を救った英雄扱いで、王子の婚約者にも相応しいと言われているらしい。



 バルコニーから放心状態で空を見る。


「もうやだよ、俺。神様、どうにかしてくれよ。」


すると、雲の隙間から声が聞こえた。


『はーい』


(?!)


驚いているといつの間にか真っ白な空間に転移していた。


『いやー、ごめんごめん。手違いで男の君をヒロインに転生させちゃった。


 ホントは君が階段落ちしたビルのテナントのガールズバーで働いてるララちゃん!あの日丁度亡くなる予定でさ。その子がピンクになる予定だったんだよね。


 イケメンホストに貢ぐために、ウブなおじさん達からお金を巻き上げまくった酷い子でさ。


 お仕置きに攻略対象が全員ブサイクな乙女ゲーム世界に転生させる予定だったんだ。


 でも同じ時間に君が亡くなったからビックリしたよー。』


おいおい。なんかツッコミどころあり過ぎだろ。


「ララちゃんはどうなったんすか?」


『うん、ホントは君が生まれ変わる予定だった、RPGゲームの登場人物に転生したよ。主人公に箪笥から革の靴を盗まれて、家中の壺を割られる農家の三男だったかな。』


「あ、なんとなくどんなゲームか想像ついちゃいました。」


『ふふ。まあでも、流石に君達を見てるうちに、攻略対象達が気の毒になってさ。本来の姿に戻してあげたんだ。


 君、めっちゃ良い子だね。今度死んだら一回飲みにでもいこうよ。』


「おー、良いっすよ。

 ところで、俺のこと、どうやって助けてくれるんですか?このままだと男と結婚するしか無くなりそうなんすけど。」


『じゃあ、君を最初から男だったってことにしてあげる!みんなの記憶も上書きしとくよ。ついでに、、秘密の特大サービスもしちゃうねー。』



 カッ!





••••••••


 そして、俺には可愛い彼女が出来た。


「ピンクス様ーーーーー!!!!」

目覚めたら俺は男になっており、名前は適当に男っぽい感じに変わっていた。



「パーピリア!!」


そう。あれから俺は、英雄となり、公爵家への婿入りが決まった。


 公爵家の【長女】パーピリアの夫として。


 パープルは、元々女の子としてこの世に生まれたことになっていた。


 しかし、呪いでガリガリちゃんになっていた記憶や俺とデートした記憶は性別が逆になって残っているようだ。


 呪いが解けたパーピリアは、シルバニアと顔立ちは似ている華やかな美人だ。


 だけど目元が優しくて、何よりも性格が可愛かった。


(あのままでも、もし女の子だったら好きだったと思うけどな。)


「どうしましたの?」

「いや、今のパーピリアも好きだけど、前までの君も可愛かったなーって。」


すると、顔を照れて真っ赤にして彼女は言うのだ。


「もう!揶揄わないでくださいまし!」


まあ、やっぱり気が合う人と一緒になるのが一番だよね。


 ちなみに、卒業パーティーで一緒に戦ってくれた攻略対象の3人とも友達になった。


 こうして、本来であれば某RPGの農家三男に生まれ変わる予定だった俺は幸せになった。



完。





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