女神様とデ-ト
オッパイを触ってしまった事件が落ち着いた2人は
お互いの今日の予定を教えあっていた。
立花はいつも通り7時30分に家を出る予定で、彼女は9時に港区のレコード会社に集合との事だ。
『アタシも立花さんと同じ時間に家を出ます』
『新人は集合の30分前に到着が基本だから、丁度良い時間なんです』と報告。
時間はまだ5時30分
時計を見た立花が
『朝メシを買いにコンビニに行ってくるよ』
『何かリクエストある?』と聞くと
『アタシも一緒に行って良いですか?』と
彼女も同伴したいリクエストを言ってくる。
『歩いて5分くらいの場所だから』
『すぐに帰って来るけど』と言うが
『たくさん買って貰っても食べきれないし』と
前日の大量、朝ご飯事件をイジるように
笑いながら彼女が言うと
『あの量は、やっぱり多過ぎだった?』と
照れながら立花が聞いてきた。
『冗談です、残った分はお昼ご飯にさせて貰いました』
『あのサプライズは、すごく嬉しかったです』
『今朝は単純に立花さんと一緒にコンビニに行きたいだけです』と言われ
笑顔の美少女から、そう言われて断れる男がいるだろうか?
『そうなんだ』
『じゃあ、一緒に行こうか?』と平静を装い2人でコンビニに行く事となった。
立花は絵色女神が他の人にバレないか?心配をしているが
当人は全然平気で
『アタシの事を知っている人なんて、いないから平気ですよ』と笑っている。
『立花さんだって知らなかったじゃないですか』と言われ
『俺は知っていたし、ファンだった』と
心の中で叫んでいたが
『それでも何かあったら、マズいよね?』と言う立花のアドバイスを聞いた彼女も
やはり心配になったようで野球キャップに伊達メガネ、それにマスクの完全防備で向かう。
早朝のコンビニなので客はおらず、2人で仲良く商品棚を見ていても誰の迷惑にもならない。
むしろ他の客がいたら、2人は付き合っているカップルだと思うだろう。
ハムとタマゴの2種類が入っているサンドイッチを選び
『じゃあ俺はタマゴを食べるわ』と男が言うと、横にいた女は
『じゃあアタシはハムを食べます』と答えており
独身で恋人のいない人間が棚の順番待ちをしていたら
『2つ買って家でやれ』と
奥歯を噛み締めながら言いたくなるほどのイチャイチャぶりだった。
それは当人も感じているようで
『楽しいな』
『デ-トって、こんな感じなのかな?』と立花に聞いてきた。
『デ-ト?』
これはデ-トになるのか?
立花は彼女に言われて、急に意識をしてしまう
『確かに楽しいね』
当たり障りの無い回答で立花が答えると
『アタシって、デ-トってした事ないんですよ』
『男の人と付き合った事が無いんです』と
申告をしてくる。
男の人と付き合った事が無い
ピュアエンジェル
立花は目を閉じて、遠くの世界に行っている。
ネットの情報で最近の女子の中には、モラルの低い女性も多くなってきていると思い込んでいる立花は
自分自身が10年近く女性から遠ざかっていたので、彼女のような女性を求めていた。
経験人数が多く、瀬戸内海の小さな島の人口くらいの男性経験がある女性は苦手だった。
『女神ちゃんモテてたでしょ?』
彼女ほどの美人が、この歳まで付き合った男性がいないとは信じられない立花が
疑っている訳じゃないけど、本当はどうなの?ってオブラートに包まれた質問をすると
『女子校だったので、そういうのが無かったんです』と言われ、ジ エンドとなったのである。
中学の時は、どうなんだよ?
バイト先では、いたんじゃない?
通学バスとかで告られていたんじゃない?
女性から『女子校でした』と言われた後に
この手の不粋な質問をすると女性には嫌われる。
その事を本能的に感じた立花は質問を終了して
『家に帰ろうか?』と話を変えた。
歩いて5分のコンビニを仲良く話しながら10分かけて帰宅する。
その帰路の途中、彼女から提案があった。
何度も泊めて貰った上に交通費のカンパや食事の支援、これからもゲ-ムを教えて貰いたい。
だから、そのお礼としてご飯を作らせて欲しい。
だが立花の家には食器はおろか、家電が無い。
『食器とかを今後も揃えるつもりは、ありませんか?』
『道具や食器があれば、アタシが作りに来ます』
『これから仕事が空いた時はアタシが立花さんのご飯を作らせてください』
『これくらいしか、お役に立てませんから』と言われ
これからも会えるの?
しかも手料理を作りに来てくれる?
心の中でガッツポーズをした立花は
『女神ちゃんが作りに来てくれるなら、家電も食器も買ってくるよ』と
冷静を装って答えた。
それを聞いた彼女は
『え〜?、一緒に行っちゃダメですか?』と残念がる。
『アタシも見て一緒に選びたいです』と
可愛い事を言ってくる。
『自由が丘駅の反対側にヤマダ電機があるから一緒に行こう』
『食器類は駅の近くの東急ストアの3階に100円ショップのダイソーがあるから』
『そこで揃えるのは、どうかな?』と
立花が提案すると
『いつ行きます?』
『今日にします?』と
彼女が目を輝かせて喜んでいる。
『店は20時までやっていると思うから、仕事帰りに、どう?』と聞くと
『アタシはラジオ番組が18時までだから大丈夫だと思います』
『終わる時間が分かったらLINEします』と
前のめりに彼女が予定を確定させた。
『これは2回目のデ-トになるの?』
立花がそう尋ねると
『はい、2回目のデ-トです』と
胸を張って彼女が答える。
そんな微笑ましい会話をしてアパートに着いた。




