22才の処女 1
目をギラギラさせた
茶髪のナンパ男は
立花と小林の方に
ゆっくりと歩いてきた。
居るだろうと予想は
していたが
本当に居て、動揺している
2人に関係なく
距離を縮めてくる。
『邦子ちゃん、仕事終わりに
飲みに行こうよ?』
クチでは、そう言っているが
目はケダモノで
『今から君を食べさせて』と
言っているようだ。
立花が小林を見ると
目は怯えており
ガタガタと震えている。
『悪いけど帰ってくれ』
茶髪男に立花が
言った。
すると茶髪男は
『上司だが何だか知らないけどよ』
『仕事が終わったら関係無いだろ?』
『俺は邦子ちゃんにプライベートで
会っているんだよ』
そう言って
さも自分が正しく正論を
言っているように
立花の言葉を
突き返してきた。
『こいつ天然なんで、
名刺とか
配ったりしたけど』
『その気が無いんだよ』
立花は茶髪男に
そう説明するが
『関係無い、アンタは
引っ込んでいろよ』と
声を荒げるのであった。
茶髪男は今朝、小林に
声を掛けた時に感じていた。
この女、押しに弱い
どうやって断ったら良いか
その方法が分からない
女性がいる。
イヤです。
ダメです。
ムリです。
キッパリと断れないないタイプの
人間は男性、女性問わずいる。
男性の場合は新聞を何件も
契約してしまったり
必要もない英会話セットを
買わされたりする程度だが
女性の場合は、それでは済まない。
断り方が分からず居酒屋へ
連れて行かれ
強引に酒を何杯も飲まされ
酩酊状態になって
ホテルに連れ込まれる。
都市部のナンパ男は
断り方が下手な女を
いつも探していた。
イメチェンした小林の
美しさに引き寄せられた
ナンパ男は
こんなキレイな女
声を掛けても断られるだろうと
思って、朝に声を掛ける。
これから会社に行くOL
時間が無い
確かに、そうだろう。
え?
携帯の番組を教えてくれるの?
え?
会社の名刺もくれるの?
この女、隙だらけじゃないか。
しかも超一流の美人
絶対に逃がさない。
そんな覚悟でいたが
携帯に電話をして
掛け直してみたら
着信拒否にされている。
なら名刺が本物か?
会社に直接行って
確かめてやる。
そこに邪魔な男が現れやがった。
『アンタには関係無いだろ』
そう言った茶髪男に
『関係あります』
『その人、私の彼氏です』
小林が勇気を振り絞って
言い放った。
『ハァ、?』
茶髪男が
何を言っているんだ?的な
顔をしてきたのを見て
『変な態度をして
すいませんでした』
『申し訳ありませんが
おかえり下さい』
そう言って小林は
頭を下げて謝る。
その行動を見た立花も
『本当に申し訳ないです』
『俺からも注意しておきますので
どうか、おかえり下さい』と
頭を下げたが
引っ込みのつかない茶髪男は
『ふざけんなよ』
『いいから、行こうぜ?』と
言って
小林の手首を掴んだ。
『はい、そこまで』
そう言って蝶野が
スマホで撮影しながら
近づいてきた。
撮影されている事に
気付いた茶髪男は
『何、勝手に撮ってんだよ』と
強がっているが
一歩後ろに下がっている。
『嫌がる女子の手首を掴んだ』
『これは立派な犯罪です』
そう蝶野が茶髪男に
宣言をしてきた。
それを聞いた茶髪男は
『手首を掴んだくらいで
犯罪になるかよ』と
強がって言い返してきたが
『最初っから、全部
撮影していました』
そう言われて茶髪男の顔は
引きつっている。
『迷惑行為防止条例って
知っているよね?』
『この動画を警察に提出するのが
いいか?』
『YouTubeがアップされるのが
いいか?』
『好きな方を選ばせてあげるよ』
蝶野は笑いながら
茶髪に言ってきた。
悔しそうな顔をする茶髪男に
『ウチの小林に次に近づいたら
いつでも警察に行きますから』と
蝶野が宣戦布告すると
茶髪男は何も言わず
振り返って
3人から離れて行ったのである。
茶髪男が完全に
見えなくなったのを確認して
『蝶野ありがとう』と
立花が言うと
『こんな感じですよ』と
蝶野が笑顔で答えきた。
何が起きたか
分からない小林は
キョトンとしている。
実は、小林に謝った後に立花は
茶髪男の事を蝶野に相談していた。
『その手の男は
しつこいですからね』
『絶対に会社の前で
待ち伏せしていますよ』
そう自信ありげに
立花に説明してくる。
蝶野の話を聞いて
困っている立花に
『大丈夫です、その手の
スト-カ-男の撃退法』
『私は知っていますから』と
嬉しそうに立花に
説明してきた。
地域によって違うが
東京都の場合は
迷惑防止条例で
行き過ぎたナンパは
禁止されている。
『茶髪男が、しつこく
ナンパしている姿を撮影します』
『それを警察に提出すれば
一件落着です』と
事前に蝶野と立花で
打ち合わせをしていたのであった。
その事を知らされていなかった
小林は放心状態である。
説明を聞いて理解はしたが
茶髪男の登場は事実であり
恐怖体験も現実であった。
『証拠を押さえたんで
あの男な2度と来ないよ』
蝶野に、そう言われた小林だが
まだ足は震えている。
『蝶野ありがとう』
『一応、心配だから小林を
家まで送って行くよ』
立花はそう言って
蝶野と別れたが
小林は、まだ不安そうだ。
それが分かった立花は
『ちゃんと家まで送るから
安心しろよ?』と言うが
『あの人は会社に直接
来ましたけど』
『藤波係長の話だと
他にも会社に』
『電話をかけてきた人が
何人かいるみたいなんです』と
心配の原因を話してくる。
『あの茶髪男以外も狙って
来ているのか?』
立花がそう聞くが
『正解な事はわかりません』と
小林は答えるしかなかった。
立花と小林が話している姿を
遠くから見ている男がいる事を
2人は知らなかった。




