脅迫 1
女神が帰った後も
立花の表情は
崩れっぱなしだった。
目を閉じても
思い出せるほど
記憶に焼き付けた
女神のカラダの
全てを見れたのは
彼氏である立花の
特権であろう。
日本中が注目するほどの
美少女を自分の彼女に
出来たらなら
男にとっては天下を
取ったくらいの
価値がある。
そんな事を思っていて
ニヤけが止まらない
立花の電話が鳴った。
猪木会長からである。
先週の会議の後に
副社長就任を打診されて
考えさせてくれ、と言った後
こちらから
連絡を入れていなかった。
『立花です』
とりあえず電話に出ると
『最近、お忙しいようで』と
開口一番、イヤミを言われた。
『すいません、副社長就任の
話ですよね?』
『こちらから
連絡すべきでしたよね?』と
立花が言うと
『違いますよ』と
猪木会長が否定してくる。
『お忙しいようで』とイヤミを
言われた。
頭の中で、何に対してのイヤミか
考えた立花が
思いついたのが
『すいません、最近
エクシブハンターにログイン
していなくて』と謝る。
『そうですね、その事も
聞こうと思っていました』と
猪木会長が答え
その回答も違う事を伝えてくる。
じゃあ、何だ?
立花は他が、思いつかなかった。
『すいません、お忙しいって
何を指しているんですか?』と
立花が降参して
猪木会長に聞くと
『絵色女神さんって素敵な
女性がいるのに』
『他の女の子と手を繋いで
日曜日にデ-トをするなんて』
『昔からは想像出来ないくらい
活発になられたな?と思って』と
笑いながら言っている。
秘書さんに見られた
蝶野との日曜日の件か?
そう思った立花は
『秘書さんから聞いたんですか?』と
会長に質問すると
『誰が見ているか、
わからないですから
ご注意ください、って事です』と
あんに正解だと伝えてくる。
『誤解がないように
言っておくと、彼女は会社の後輩で』
『彼女が参考書を買うのに
俺が付き合っただけですよ』と
誤解だと言う事をアピールした。
『そういう事は絵色さんに
説明してあげてください』と
猪木会長は笑って、取り合わない。
『別に女神に怒られても
いませんし、ケンカもしていません』
『ついさっきまで、ココに
いましたから安泰です』と
猪木会長に説明する。
『そうでしたか』
『だったら良かった』
『私も既に女神さんの
ファンですから
彼女を泣かす事がないように
お願いします』と
猪木会長に言われて
『もちろんです』と
立花が答えて
『来週の女神の誕生日を
俺の家で祝おうって
話していたんです』と
交際が順調な事をアピールすると
『それだ』と
猪木会長が大きな声で
言ってくる。
『何ですか?それだって』
立花が質問すると
『今日、電話した本題です』と
電話口で説明を始める。
記者会見をして、
エクシブハンターの
世界大会を発表して
CMの放映も始まったが
もう一段、世間の注目を浴びる
話題が欲しかった。
中だるみ
最初の話題提供から
時間が経過すると
情報の新鮮度は落ちていく。
そこで猪木会長は
テコ入れになるような企画を
立花に相談したかった、そうだ。
今やSNSのフォロワー数が
日本一位になった
女神の誕生日会を
オリファルコン主催で開催すれば
マスコミの関心も高まり
フォロワー宛に発信して貰う
計画を思いついたらしい。
『サニーミュージックに
連絡してみます』と
慌て猪木会長は電話を
切った。
『何、なんだ?』
一方的に電話をかけてきて
イヤミを言われた後に
用件が済んだら
一方的に電話を切られた。
怒っても、良いとこじゃないか?
そう考えている立花だが
一つ気になっていた事もあった。
蝶野と会っている所を
他にも目撃されているのでは?と
思い始めていたのである。
オリファルコンの秘書さんは
バッタリ会ったので
向こうから声を掛けて来たが
自分と蝶野が並んで歩いている所を
目撃しているが
声を掛けて来ない人間もいるだろう。
蝶野が積極的にアプローチを
して来ており
彼女の気持ちも知っている。
この前はキスもされた。
だが自分には女神がいる。
変に期待を持たしても悪い。
そう考えて、蝶野と会うのを
止めようと考えている。
だが約束の前日に
ドタキャンした上に
もう2人きりでは会えないと
彼女に伝えるのは
酷じゃないか?
そう考えた立花は
『明日は池袋のアニメイトに
14時で大丈夫ですか?』と
彼女にメッセージを送る。
すると、すぐに
『その予定通りで大丈夫です』
『今は明日、着ていく服を
選んでいました』
『リクエストがあったら
言って下さい』
『コスプレもレ-ルガンとか
レムなら持ってますよ』と
明日が楽しみだと言う長文が
蝶野から送られてきた。
こんなに楽しみにしている
蝶野に残酷な事を
告知しないといけない。
立花は心に少し痛みを感じながら
『了解です』と返信をしたのであった。




