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撃沈

緊急修理に行った立花と藤波係長が

台風の影響で帰って来れずに

現地で宿泊した事を会社の

みんなは知っていた。


男女2人が遠方で宿泊したが

お堅い藤波係長と静かなイメージの

立花なので

当然別の部屋に泊まったと思い

誰も騒ぐ事はなかったのである。


ただ1人を除いて。


その人物は蝶野正子である。


台風で電車が止まった連絡を

会社に入れた時に

蝶野は会社に残っていた。


『群馬県で泊まりなら温泉で

係長と立花が混浴かもな?』と

笑っている男性社員の冗談を聞いて

不安を募らせていたのだ。


その後のネット情報で運休が決まると

完全に現地宿泊が決定して

更に心配をしていた。


だが彼女でもない蝶野は

立花に連絡をしたかったが


連絡する事は越権行為と考え

連絡を控えたのだ。


男を待たせる事はあったが

男を待つ事がなかった蝶野は

心が苦しかった。


こんなに人を好きになった事はない。


蝶野の憧れが藤波係長だった。


女性ながら男性社員より早く

管理職について

他の男性社員が文句を言えないくらい

テキパキと仕事をこなす姿に


蝶野は自分の将来の理想像に

思っていたほどだ。


美人で仕事が出来る藤波係長は

立花も憧れているだろうし

1人の女性として見ていると思う。


夜12時、自宅にいた蝶野正子は

現地では、立花が藤波係長の部屋に訪問して

同じベッドに入った事を想像して

眠れなかった。


普段真面目な藤波係長だが立花が

部屋に来たら迎え入れてしまうだろう?


藤波係長を高く評価していて

立花に恋愛感情を持っていた彼女だから

気が気ではなかった。


勝手な妄想を膨らませていた蝶野は

冷蔵庫から缶チューハイを持って来て

想像を消す為に一気飲みを繰り返す。


500ml缶を4本、飲みきった時に

睡魔がやって来て

崩れるようにベッドに倒れ寝たのであった。


翌朝、会社に出社したが

藤波係長も立花の姿もない。


電車は始発から動いている筈だ。

何故、2人とも来ていない。


電車が動いたとはいえ、昨夜は家に

帰れなかったので

着替えたりする為に自宅に立ち寄り

その後、出社する事を

少しは想像出来そうだが


蝶野正子には、そんな余裕がなかった。


そもそも立花には彼女がいるので

他の女性にアタックを仕掛ける

可能性は低い上に


同じ会社の上司と部下なので

更に可能性は低いだろうと

普通は考えそうなものだが


片思い中の蝶野は視界が狭くなっており

2人が出社していない事で

不安は倍増したのである。


藤波係長の代わりに課長が朝礼の

司会進行をしていた時に

2人は遅刻してくる報告があった。


10時前に、藤波係長、立花の順で

出社して仕事に合流し

何事もなかったように

仕事を始めていた。


はたから見た立花に変化は無い。

藤波係長も、いつもと変わらない。


良かった。

何事もなかったんだ。


蝶野は胸を撫で下ろした。


お昼の時間、蝶野が食堂に行くと

藤波係長が1人で昼食を食べている。


蝶野は自分の食事が載ったトレ-を

持って

『ご一緒しても良いですか?』と

藤波係長に声をかけた。


ほぼ食べ終えていた藤波係長は

『いいよ』と微笑む。


向かい合わせの席に座った蝶野が

『昨日は災難でしたね?』と

話し掛けると


『そうなんだよ、帰ろうと思って

駅に着いたら電車は止まっているし』


『しばらく経ったら動くと思っていたが

結局は運休になったからね』と

苦笑交じりで、説明をした。


『立花さんと一緒だったんですよね?』

『大丈夫だったんですか?』と

蝶野が、そう質問すると


分かりやすい位に、動揺した藤波係長が

『何がだ?』と

質問を仕返してきた。


故障対応での緊急出動、修理が無事に

終わったか?の意図で

質問した蝶野だったが


やましい気持ちがあった藤波係長は

蝶野の質問にドキリとしたのである。


『修理は無事、終わったんですよね?』

そんな蝶野の質問に


『あぁ、無事に終了したよ』

『じゃあ、私はこれで』と言って

藤波係長は席を立って、去っていく。


女の勘


いや、自分も立花にちょっかいを

出していた蝶野だから分かる


何かあったのでは?と

思ったのであった。


蝶野は酔い潰れた立花をタクシーの中で

いたずらをした。


スッポンを食べて完全体になった

立花の立花をパンツから引っ張り出し

イタズラしたのである。


あの時の事を、思い出した蝶野は

会社の食堂なのに身体が熱くなり

ムラムラしたのと同時に


昨夜の心配が確信へと変わっていった。


藤波係長には、これ以上は聞けない。

立花に聞いてみよう。


すぐにチャンスは訪れた。


立花宛の報告書が入った郵便を

蝶野が受け取ったので


立花の元へと行く口実が出来たので、

彼の机へと向かう。


『立花さんに書類が届きました』

そう言って立花に話し掛けると


『おぅ、サンキュー』と

いつも変わらない立花が、蝶野に

答えた。


『藤波係長と何かあったんですか?』

単刀直入に、立花に質問する。


群馬県からの帰りの電車で、

藤波係長と立花はクチ裏をあわせていた。


別の部屋に泊まった。ホテルに着いてからは

朝まで別別だった。


誰かに聞かれたら、そう答える打ち合わせを

していたのだ。


『何かあったって、何が?』と

立花が蝶野に質問を仕返すと


周りをキョロキョロと見渡した蝶野が

立花の耳元に近づき

手で耳を隠すようにして

『藤波係長とエッチしたんですか?』と

聞いてきたのである。


そんな質問をする蝶野に驚いたが

『ある訳ないじゃんか?』と

立花がすぐに大笑いをして返すと


『ですよね』と

質問した蝶野が、顔を真っ赤にして

恥ずかしがっている。


『誰か、そんな噂をしているのか?』と

立花が聞くと


『いえ昨日も誰かが、温泉だから

混浴じゃないか?』って

言ってたのでと

オドオドしながら説明した。


『何処も空いてなくて、ボロボロの

ビジネスホテルに泊まったよ』と

説明して質問が終わった。


『変な事を聞いて、すいませんでした』

蝶野は笑顔で自分の机に戻っていくが


そのやり取りを遠くで見ていた人物がいた。


藤波係長である。


蝶野はご機嫌になっている。


立花のあの口調では藤波係長とは

何も無かった。


そう安心していた。


会社内のライバルは必要ない。


立花の彼女候補は自分1人で充分だ。


笑顔が戻ってきた蝶野は自分の

仕事に取り掛かった。


自分の机に戻ってきた藤波係長は

ある事を考えている。


立花と自分が付き合うのに蝶野正子は

邪魔だと。


今日も着替えに立ち寄った自宅で

シャワーを浴びている時に

シャワーの圧力を高めて


立花の立花を思い出して、何度も

身体を痙攣させていた、


蝶野正子は知らなかったが、

翌月に

彼女は尊敬する藤波係長の手で

千葉支店に転勤となったのであった。


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