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女神無双

立花からのお詫びメ-ルが届いた女神は

嬉しくて大喜びをしたのと同時に


自分が勝手に立花が嫌っていたと

思い込んで暴走した事を反省した。


一般の会社で働いた事のない女神は

普通の会社員の日常を知らない


仕事で突然呼び出される事がある事を

今回初めて知ったのだ。


連絡が出来ない場合もあり得る


自分だって立花からのメッセージに

レスを返すのが遅くなる事だってある。


立花を信じて一生ついていく

改めて心に誓う女神だった。


立花にごめんなさいと新センターに

選ばれた事を報告した彼女は

前日の睡眠不足を補うように

爆睡して朝を迎える。


迎えた次の日のCMの撮影現場にも

広告代理店の濱口はいた。


『おはようございます、

よろしくお願いします』と

スタッフ全員に元気に挨拶をする

女神を見て


仲直りしたな?と


彼女の表情から感じとった濱口は

作戦を変更して


『おはようございます、今日も最高の

笑顔で良い作品作り期待してます』と

頭を下げて、お行儀の良い

広告代理店の社員を演じる。


今日はドリンクメ-カ-のジャックモンドの

撮影であった。


この会社もオリファルコンとコラボしている

企業だから


猪木会長のラインで絵色女神をCMに

起用したのであろう。


濱口は以前、猪木会長に言われた通りに

自分担当で予告していた会社のCMが

絵色女神で実現していく事に

少し恐怖を感じていた。


だが、今日の女神の笑顔を見た時から

彼女を自分のモノにして

屈服させたい欲望が勝っている。


何事もなかったように打ち合わせが

始まって

すぐに撮影が始まった。


現在のCMはタレントのみを撮影して

バックはCGで合成する方法が多い。


実際、今日の撮影もビ-チパラソルの下

椅子に座った女神がドリンクを

美味しそうに飲んでいるバックは

南国のビ-チが後から、付け足される。


女神の勘の良さもあり監督の要望通りの

画面が撮れたようで

予定より1時間早く撮影は終了した。


帰ろうとする女神を濱口が追いかけて行き

スタジオを出た廊下で追いつき


『女神ちゃん、お疲れ様』と

濱口が声を掛けると


彼女は振り返って

『今日は、ありがとうございました』と

一礼をして帰ろうとする。


そのリアクションを見て慌て走って

女神に追いつき


『ちょっと待ってよ』

『少し冷たいんじゃない?』と

彼女に話し掛けたが


『すいません、急いでいるので

失礼します』と

話を聞こうともしない。


だが濱口はめげずに

『撮影が早く終わったんだから

スタジオの隣の喫茶店に行かない?』と

女神を誘う。


『すいません、本当に急いでいるので

失礼します』と

濱口の方を見ずに答えて

廊下を歩き出した。


『女神ちゃん、LINEを教えてよ?』

濱口が言った言葉には

リアクションもせずに歩いていき

濱口の視界から消えていった。


『マジかよ、俺の誘いを断わるかね?』

濱口は笑いながら女神を見送り


『絶対に食ってヤル』と

野心を燃やすのであった。


そんな事を知らない女神は

いつものようにトイレに直行して

立花にLINEを打っている。


マネージャーさんに聞いた

来週以降のスケジュールでは

深夜までの仕事は減りそうで


てっぺんを迎える前には

帰れそうとの事だった。


てっぺんとは業界用語で12時の事で

日をまたぐか?またがないか?

時計の針が1番高い所を指すので

そう言われている。


今の女神は家に寝に帰って来ているだけで

自分の時間など無い。


だが子供の頃から憧れていたアイドルに

成っている実感がある。


そんな細かい感想まで立花にLINEで

送っているので時間は長くなり


最近ではマネージャーさんに

『お腹大丈夫?』と

心配されるくらいだ。


だが立花の事は事務所に絶対に

バレては、いけないので

誤魔化し続けるしかない。


トイレを出た女神はマネージャーさんと

一緒に車に乗り込み

次の現場であるテレビ局へと向かう。


車の中で女神はマネージャーさんに

『仕事の件で、女神ちゃんに

確認しときたい案件があるのよ』と

言われた。


『確認?、仕事で?』

女神は何の事か分からなかった。


すると

『写真集の話が2つ来ているの』と

マネージャーさんが喋り出したのを聞いて


『キャ〜』と

既に大喜びである。


売れているアイドルのバロメーターに

なるのが写真集とカレンダーだ。


売り上げ数が目に見えるので

場合によっては残酷な結果にもなる。


だが出版社も赤字を覚悟で出す訳もなく

売れる見込みのないアイドルには

声がかからない。


写真集のオファーが来たという事は

女神に人気があり出版しても

予算を組んだ費用を回収出来ると

踏んだという証拠である。


『一冊は海外で水着撮影ありの企画で』

『もう一冊は国内での撮影なの』と

マネージャーさんが説明すると


『国内も水着があるんですか?』と

笑顔が消えて真剣な表情の女神が尋ねると


『国内は打ち合わせ次第だけど

女神ちゃんがイヤなら水着は無しに

出来そうよ』と説明すると


『でしたら国内にして下さい』と

女神が即答した。


『やっぱり、そう言うと思ったわ』と

マネージャーさんが笑いながら答え


『ギャラは聞かなくても良いの?』と

聞いてきたが


『水着はイヤです』と

交渉の余地ナシで却下となる。


水着と言って誤魔化しているが

購入している男達は下着姿と同じ視線で

写真集を見ている。


女神の年頃でスタッフとはいえ男達の前で

下着同然の姿での水着撮影は羞恥心が

壊れそうになるだろう。


『水着ありは売り上げの10%で、

水着なしは5%みたいよ』

そう説明するが


女神は即答で

『水着ナシでお願いします』と

答えた。


女神が所属している事務所は良心的であり

所属タレントに水着ありとギャラを

事前に開示しているが


コンプライアンスを無視した事務所だと

タレントに告知せずに

現場に着いたら布の面積の少ない水着が

用意されていて

事前に告知せずに公開下着ショ-の

ような形で水着撮影が始まる。


Tバックのような下に、何度もポロリを

してしまう上は


写真集では採用されないが現場の

男性スタッフには全て見られてしまう。


恥ずかしさに耐えて終了した仕事で

タレントが今日の写真集のギャラの事を

尋ねると

『お前が売れる為に、無理言って

写真集を出して貰ったんだよ』


『ギャラなんて貰えるかよ』と一喝されて

おしまいである。


実際には事務所に売り上げの10%が入る。


味を占めた事務所はもっと際どいDVDの

撮影をさせたりしていき

やがて飽きられたタレントは消えていく。


写真集は1冊、2000円から3000円で

神楽坂36のトップクラスが

際どいセミヌ-ドの写真集を発売

した時には40万部を超えるヒットとなった。


2000円×40万部×10%でタレントには

8000万円のギャラが入った計算になる。


今の女神の人気なら半分の20万部は

売れるであろう。


恥ずかしさの対価で4000万円を

得るつもりは女神にはなかった。


自分が肌を見せるのは立花だけと

彼女は決めているからだ。


既にCMを3本契約しており3000万円は

貰える話になっているので

危ない橋を渡るつもりは無い。


3000万円の半分を税金で納めても

残りの金額で中古の家を両親に

買ってあげられる。


それで女神は充分であった。


来月には鬼のように、こなしている

今の仕事のギャラも入る。


計算はしていないが手取り20万円の

給料の何倍も貰えるであろう。


新人である女神のクチからは言えないが

出来ればもう少し仕事をセ-ブして

プライベートの時間を

増やしていきたいと彼女は思っている。


仕事が終わって家に帰るのが深夜では

立花に電話が出来ない。


自分の空き時間が日中に取れても

立花は仕事中で電話が出来ない。


この何日間は文字のやり取りだけで

立花の声が聞けておらず

それがストレスとなっていた。


だが絵色女神の快進撃は止まらず

『もう一つ、新しい仕事の相談が

来ているの?』と

マネージャーさんから打診があった。


『もう一つって、何ですか?』と

女神が尋ねると


『女性ファッション誌の専属モデルの話が

3誌から来ているの』

そう説明を聞いた女神は

『キャ〜』と

再び歓喜したのである。


最近の女性アイドルは男性の支持だけでは

生き残れない。


いかに同性である女性に支持されて

いけるか?で変わっていく。


同性である女性が見て憧れる

ファッションリ-ダ-に成れるか?が

ポイントであった。


女性の永遠のテ-マである綺麗に

なりたいを追求する

女性ファッション誌は

着こなしの教科書になるので

出版不況の中、景品付き雑誌と並んで

売り上げが落ちていない。


『専属契約だから1社を選ばないと

いけないんだけど、どうする?』と

マネージャーさんが確認をする。


女性ファッション誌もライバル会社が

多いので専属契約でタレントを拘束して

ライバル誌に出演をさせないようにする。


『アタシ、オリファルコンさんの雑誌も

専属契約ですけど平気なんですか?』と

女神が質問すると


『今回の専属契約は女性ファッション誌

だから』


『オリファルコンさんが出している

雑誌とは被らないから平気よ』と

説明をしてくれた。


この業界は1社と契約すると、同業他社の

広告媒体には一切関与出来ない。


お菓子メ-カと契約した女神は

テレビ出演やラジオ出演した際も

普段から食べるお菓子は

自分がCM出演したメ-カ-の

お菓子だと発言しないと、いけないのである。


専属契約だから高い報酬や高待遇が

約束されるのであった。


『条件は3誌とも同じだけど

ロシナンテさんだけは年間3回の表紙も

確約条件になっているわよ』と

マネージャーさんが説明を加えた。


雑誌が専属契約するタレントは1誌に

何人もいる。


雑誌の中で服を紹介するだけのモデルさん

場合もあれば


雑誌の顔である表紙を飾って、

そのまま巻頭で特集ペ-ジにも起用される

特別クラスのモデルもいる。


コンビニなので見かける美人が笑顔で

写っている女性ファッション誌に

憧れていた女神は

『でしたらロシナンテさんで話を

進めて貰えたら嬉しいです』と

リクエストをしてみた。


『了解です、女神ちゃんの希望を

運営には言っておきます』

そう言った後に


『あと、来週に予定されていたドラマの

オ-ディションは無くなりました』と

マネージャーさんが報告してくる。


女神も、これだけ忙しいと無理か、と

納得していると


『オ-ディション無しで出演依頼が

先方から来ました』


『詳しくは来週決定ですけど、

役名ありでセリフもありです』と

マネージャーさんが報告すると


『ヤッタ〜』と

女神が大喜びする。


ドラマでオ-ディションなどはするが

実際はある程度、話は決まっている。


売れている俳優と実力のある事務所との

パワーバランスでメインが決まり


話題作りで旬なタレントやアイドルを

配置してファン層の視聴率を

取りに行く為である。


CM出演の後のテレビ出演、写真集発売、

女性ファッション誌の専属モデルに

ドラマ初出演


1ケ月前までは無名に近かった彼女は

名実ともにトップアイドルに

なってのである。




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