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出張

『はい、OKです』


監督の声でCM撮影は終了した。


休憩後、撮影に復帰した女神は

さっきまでとは別人のような表情で

撮影に望み


スタジオに居た全員が引き込まれる笑顔を

見せて


完璧な状態でCM撮影を完了させた。


撮影していた監督は

『さっきとは別人みたいだね?』

『今の彼女なら売れているのも

納得の美少女だよ』と

隣に立っている濱口に話しかけている。


その話を聞きながら絵色女神を見て

微笑んでいた濱口は


休憩後に撮影を始めた女神を見て

心の中にある願望を芽生えさせていた。


絵色女神を抱いてやる。


そんな事を微塵も見せずに

撮影した女神に近づき

『良い仕事、ありがとうございました』と


あくまで広告代理店の社員として

出演タレントに礼を言った。


無理矢理、キスをされていたが

その後の彼の話に納得してしまった女神も

『色々とご迷惑をお掛けして

すいませんでした』と

仕事人として頭を下げる。


立花にLINEを打ちたかった女神が

スタジオを出ようとした時に

濱口が女神に近づいて来て


『明日の撮影も宜しくお願いします』と

言ってきた。


『明日の撮影?』

女神が不思議そうに聞き返してきたので


『そうか、打ち合わせ無しの撮影だから

まだ全部聞いていないか?』


『明日のジャックモンドのCM撮影も

俺が担当だから宜しく』と

伝えてくる。


また、この人と一緒なの?


女神の表情が一瞬曇ったのを濱口は

見逃さなかった。


『明日の撮影は今日の最初みたいな表情は

無しでお願いしますよ』と

みんなの前で話すと


『ハハ』っと、その場にいたスタッフが

みんな笑う。


一人複雑な表情の女神に濱口が近づき

耳元で

『明日もキスしてあげるよ?』と

囁くと


女神が濱口から離れて彼を睨みつけるが

濱口は大笑いをしている。


この人、嫌い


女神は改めて、その事を心に焼き付けた。



場所は変わって立花と棚橋が働く会社


月曜日の朝、オフィスに着いた立花は

金曜日に武藤慶子に強い言葉を

ぶつけていたので


どんな顔で彼女と接したら良いのか?

困っていた。


あくまで会社の仲間として

普通に接して、いこう。


そう思っていたが武藤慶子は

体調不良で休みとなっていた。


それはそれで、助かった。

いないなら、しょうがない。


そう思って通常業務に入る。


蝶野正子も同じフロアで働いていたが

特別、立花に甘えたり

馴れ馴れしくする事はなかった。


今までの蝶野なら会社内の女性陣に

昨日のデ-トを自慢して

他の女子に勝利宣言をしていた事だろう。


だが立花の彼女の存在と自分が

立花に恋愛している事を認識した今

彼に嫌われるような事はしたくない。


蝶野が戦線離脱して武藤慶子が休みは

チャンスと思った他の女子社員が

立花に積極的に話し掛けているが

蝶野は余裕で静観している。


社内の女子との戦いなら勝算はあった。


今度の日曜日の池袋デ-トの約束だ。


他の女子は知らないだろう、

立花のアニメ好きの事を。


同じ趣味は強い。


今までは気に入った男に取り込む為に

相手の好きな事に興味を持った。


だが今回は自然体でいける。

立花の好きな事が自分の趣味だからだ。


他のフロアの女子が立花を

野外の音楽フェスに誘っているのが

聞こえてきたが立花は断っていた。


会社内では、立花さんの迷惑にならない

大人しい後輩に徹する事にしよう。


昨夜、立花と別れてから家に帰って

蝶野が考えた事だ。


そんな事を知らない立花は

女子社員の誘いをやんわりと断り

自分の仕事に取り掛かろうとする。


だが立花は背広の胸ポケットに入れた

スマホを気にしていた。


今朝は、いつもの女神のおはようメ-ルが

来ておらず気になっている。


昨夜、女神が送ってきた体調を心配した

LINEに自分が返信をしてないくせに


女神から、LINEが来てない事で

怒らせたか?と心配になっていた。


土曜日、日曜日に会えずにスネて

不貞腐れているくらいの気分だった。


女神がアイドルとして成功していくのに

自分が邪魔になるのでは?と

思っているが


女神の事は変わらず好きである。


小学生が好きな子にチョッカイを

出すのと同じように


心配なら言葉じゃなく、直接

会いに来て欲しかった。


だが立花が昨夜の女神の体調を心配した

LINEに返信しなかった事で


女神が怒っているかも?と思い

何て書いて送って良いのか、わからず

結果、女神の出方を伺っている状態だ。


女神からLINEが来たら、すぐに

返信をする為に臨戦態勢に入っていたのだ。


だが、そんな時に限ってLINEは来ない。


女神は一睡もしていない状態でCM撮影を

していたからだ。


『立花君、ちょっと来て』

藤波係長が慌て立花を応接室に呼ぶ。


悪いタイミングの時にはトラブルが続く。


藤波係長が受けた電話は

立花が1ケ月前に設置した取引先の工場の

オンラインシステムが立ち上がらないと

緊急連絡が入ったとの事だった。


場所は群馬県のみなかみ。


目黒区に本社がある会社が群馬県に

新規工場を建設したので


群馬県と東京都をオンラインでつないで

双方を社内LANでつなぎ


複合機で同時にプリントアウト出来る工事を

請け負ったものだった。


システムが、入らず仕事にならない。


『すぐに、どうにかしてくれ』

お得意様に、そう言われたので

藤波係長は群馬県の隣の埼玉支社に

状況確認と修理をお願い出来ないか?

頼んでみた。


だが埼玉支社は新型コロナウィルスが

社内で流行っていて何人も休んでおり

自分の支店が応援が欲しいとの事だ。


そこで立花の今日の訪問先を

こちらの人間で分散してヘルプして

立花に群馬県に向かうように

指示を出す事にする。


現場で一人では対応出来ない場合を

想定して藤波係長も同行する事となった。


普通の月曜日で、通常の仕事をしながら

女神のLINEを待っているつもりが

緊急対応となり

それどころでは、なくなっていた。


群馬県のみなかみまでは電車で2時間半で

着くだろう。


今から行けば、お昼に着いて

午後からの復活も可能と考えて

2人で急いで駅へと向かった。


群馬県に向かう電車の中でも

2人はノ-トパソコンを広げて

他の作業をしている。


台風が近づいており雨風が強くて

電車の遅延を心配していたが


やがて群馬県に着いてタクシーで

工場に向かい

予定通りに、お昼前に工場に着いた。


すぐに機械を確認したが不調の原因が

見つからない。


PC側も確認するがエラーは

見つからない。


両方にエラーが無いのにオンラインが

繋がらない?


藤波係長も首を左右に振って

お手上げ状態を説明してくる。


作業にかかり切りになっている立花は

待ちに待った女神から入ったLINEに

気づく事が出来なかったのである。





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