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既読スル-

蝶野と別れた立花は自宅に帰るタメに

電車に乗っていた。


時間は20時、次の日が仕事だと言う事を

考えたら社会人としては

常識の範囲内での解散時間である。


蝶野がアニメ好きだとは意外だった。


周りのアニメ好きを探すのは難しい。


アニメを好きだとカミングアウトすると

『マジで?』と

今まで仲良く喋っていた友人から

白い目で見られた状況を


アニメ好きなら一度や二度は経験して

イヤな気分になっているからだ。


だから自分からアニメ好きだという事を

白状する事は少ない。


SNSで仲間を見つければ良いのだろうが

アニオタは基本、自分から人に

声をかけたりするのが苦手だ。


砂漠で遭難して1人で歩いて迷っていた時に

他の人に会えた喜びに似ており

身近にいたアニメ好きの

蝶野との来週の池袋が楽しみになっている。


ここに来てやっと女神の存在を

思い出した立花がスマホを見ると

女神からのLINEが3件

入っている事に気付いた。


内容は

『今、ライブ番組の収録の合間です』

『佐山さんが作った曲じゃない新曲なんで

私の出番は少ないです』


『また連絡します』


その次は



『返信がない、え〜ん(泣)』

『お休みだから、お昼寝ですか?』

『ゆっくり休んで下さいね』



最後のメッセージは



『大丈夫ですか?』

『病気じゃないですよね?』

『心配なので、返信下さい』


12時から8時間、ほったらかしにしていた

立花のスマホに入っていたメッセージだった。


分刻みのスケジュールでトイレに行って

やっと1人になれた時間に打っていた

女神のLINEであったが


立花は

『大丈夫です』とだけ打って返信をした。


収録と言ったって、空き時間には

楽屋にいてヒマなんだろ?


もっと長いメッセージを打ち返す事も

出来るだろう?と

立花は思っていた。


テレビで見る芸能人は楽屋で談笑しており

女神も、そうだろうと思い込んでいる。


実際は雑誌の取材記者が例を作って

待っており、各社が順番待ちして

インタビューをしていた。


女神ブレイクで数十社がインタビューを

申し込んできたが


インタビューだけで時間も場所も

抑えていたら、さばききれないので


雑誌の記者に楽屋に来て貰い

他の権太坂36メンバーがいる楽屋で

女神だけ端っこでインタビューの

ハシゴ取材を受けていたのである。


収録が再開されるとインタビューは中断し

収録が終わったらインタビューを再開


インタビューが終わったら新しいCMの

打ち合わせが入っており


お行儀が悪いが先方の了解を貰って

打ち合わせをしながら

食事を取っている状態だった。


その多忙の中、トイレに行く時間だけは

1人になれるので


立花のレスを楽しみにトイレに走っていき

返信を確認するがレスは無い。


『立花さん、病気なの?』

『1人で寝込んでいない?』

彼女は心配で、たまらなかった。


だが心配をしていた相手は

後輩のふくよかなバストに鼻の下を

伸ばしており


8時間待たして返したレスは

『大丈夫です』の5文字だった。


環境の違う2人なので、お互いの状況が

分からない。


急激に変化した女神の仕事環境を

立花が想像して

思いやる事が出来ていなく

全てが悪循環であった。


最初は立花も、かまってくれないから

意地悪してやる位の気持ちだったのかも

しれない。


女神がトップアイドルの道を歩き

始めたから自分は足を引っ張らないように

身を引いた方が良いだろう。


半分冗談で半分本気でそう考えて


自分は1人ボッチに戻ってしまうが

しょうがないと思っていた。


だが人生最高のモテ期に入った彼は

女神に好きと言われてからも


武藤慶子や蝶野正子と続けて美人に

告白されて


俺ってモテるのでは?と

調子に乗っていたのである。


女神が居なくなっても、何とかなると

思い始めてもいた。


武藤慶子に、あれだけの事を

言っておきながら

自分の事はお粗末である。


蝶野が言った

『真夜中でも呼び出してください』


あの言葉にはグッと来たというか

全部持っていかれている。


夜中に呼び出すなんて、ヤる事なんて

一つしかないじゃん。


それを、あの蝶野が言ったのだ。


イケイケなイメージな彼女だが、

仕事をヘルプして以降は立花に対して

絶対服従で従順であった。


資格取得に向けて、頑張っている姿を

見ていると応援したくなる。


女神も、アイドルで頑張る姿に感動して

応援を始めたが


自分の手の届かない場所に行き始めて

しまっているが


蝶野は何の制約もなく会いたい時に

会える。


マスコミの目を気にする事もなく

好きな時に好きな場所で

自然体でいられる。


次に付き合う女性は結婚する相手に

したいと考えている

立花のポリシーは変わっていない。


女神と結婚する可能性はあるのか?


17歳の現役アイドルで

目下トップアイドルの仲間入り間近。

何の取り柄もない会社員の自分とは

不釣り合いなカップル


やはり、そこに行きついてしまう。


久しぶりの立花からのレスが来た時に

女神はすぐに分かった。


テレビ収録時には御法度である

スマホを、コッソリと

衣装に忍ばせていたのであった。


権太坂の衣装は女子高生のブレザーを

イメージした衣装だったので


内ポケットにスマホを入れる事は

可能ではあったが


万が一に収録中に鳴ってしまい、収録を

止めてしまったら

めちゃくちゃ怒られる事を

女神も分かってはいたが


立花のレスが返ってこない状態では

何も考えられず

居ても立っても居られずの行動であった。


スマホを確認したい。

早く収録が終わって欲しい。

そんな時に限って収録は長引き


立花のレスが来てから1時間半後に

収録が終わって

権太坂のメンバーは楽屋に

行ける状態となる。


すぐに女神はスタジオを出て廊下で1人

スマホを確認した。


『大丈夫です』


立花からの安否連絡に胸を撫で下ろしたが

淡白なレスに違和感を感じた。


具合が悪いが心配させない様に

強がっているメッセージ?


猪木会長や佐山サトシのような

自分が知らない人と会っているから

返信が出来ない?


色々な事を頭の中で考えているが

立花が他の女と会っている事は

全く予想をしていなかった。


『勝手に具合が悪くなっていると思って

心配していたので』

『大丈夫で安心しました』


女神が急いで打ったLINEはすぐに

既読になった。


『時間は23時前だから、まだ立花さんも

寝ていなかったんだ』


リアルタイムで繋がる事が少なかった

女神は立花からのレスを待っている。


そこに権太坂の先輩が

『女神、ミ-ティング始まるよ』と

呼びに来た。


『はい、今行きます』

スマホを握りしめたままの女神が

楽屋に走って行ったが立花からの

レスは来なかった。


自由が丘のアパートに戻っていた立花は

女神のLINEを見て

『心配だったら会いに来いよ』と

悪態をついて


LINEを見終わったスマホを床に置いて

寝てしまったのだ。


女神は仕事中も、仕事が終わってからも

スマホを握り締めており


深夜2時に家に帰ってからもスマホを

握り締めて立花のレスを待っていた。


だが明け方になってからも立花のレスは

来る訳もなく


その日、女神は一睡も出来ずに

朝を迎えたのである。





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